【メジャースカウトの眼】大谷より旬は先にある天理・達
「選抜高校野球・1回戦、天理7-1宮崎商」(20日、甲子園球場)
2年ぶりの開催となったセンバツ。32校の熱戦に、スカウトたちもスタンドから熱視線を送る。今大会もカンザスシティ・ロイヤルズの大屋博行国際スカウトがメジャーの視点から金の卵を分析する。
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天理・達君は、中学時代はそれほど速い投手ではなく、変化球を器用に投げていた。瞬発力や躍動感のある投手というより、バランスのとれたタイプだった。今も193センチの長身でも、175センチ位が投げているようなバランスのよさがある。
ただ、高校に入って身長が伸び球速が上がったことで、変化球に影響が出てきている。球速とともに腕の振りが速くなると、それまでの変化球の投げ方では対応が難しい。カーブのリリースポイントが定まらなかったり、スライダーの球速が出ず“スラーブ”になってしまったりする。
高校に入ってから10数センチ、昨年まで身長が伸び続けていたという。それだけ伸びると、日々感じたことがない感覚を味わいながら投げているだろう。今後は変化球の握りを調整し、直球が一番速くなった時に変化球の感覚を定着させたい。
190センチを超える身長は高校時代の阪神・藤浪(大阪桐蔭)、エンゼルス・大谷(花巻東)をほうふつとさせるが、タイプは違う。藤浪は個性的でバランスが悪いと見る向きもあったが、それが武器でもあった。大谷はスムーズな投げ方で、体ができていた。
一方の達君は、2人に比べると発展途上で旬は先にある。大きな体に筋力と調整力が追いつけば、本格派右腕として大成しそうだ。