東播磨・鈴木、好投好打も暴投で夢散「夏も絶対に帰ってきたい」
「選抜高校野球・1回戦、明豊10-9東播磨」(22日、甲子園球場)
ああ、終わった-。エースが投じた137球目は捕手のミットをすり抜け、バックネットに当たった。三塁走者が頭から生還し「悔しさしか残らない甲子園でした」。東播磨(兵庫)のエース・鈴木悠仁投手(3年)は、歓喜に沸く明豊(大分)ナインをぼうぜんと見つめた。
先手を奪ったのは東播磨だった。初回1死満塁のチャンスを作ると、鈴木自ら右翼の頭上を越える2点二塁打を放つなど3点を先制。だがすぐさま同点に追いつかれ、4-5となった三回終了時点でいったん、マウンドを降りて左翼に就いた。
だが「ほどよい緊張感に変わった」と再び登板した六回1死からは粘りの投球。1点を追う九回1死三塁の第5打席では、サイン通りに“ヒットエンドラン”を決め試合を振り出しに戻した。しかし…最後は延長十一回、無死満塁から自身の暴投で夢の時間は終わった。
大会1週間前にへんとう腺が腫れ、発熱。回復したのは18日だった。それでも、福村順一監督(48)はエースを信じて起用。「あの調子の中でよくやってくれた」とたたえた。
「まだ甲子園のレベルに達していなかった。夏も絶対に帰ってきたい」。鈴木はあふれそうになる涙をグッととこらえ球場をあとにした。また必ず強くなって、夏の聖地に戻ってくる。