常総学院 木内元監督にささげる白星“島田マジック”でセンバツ初のタイブレーク制した
「選抜高校野球・1回戦、常総学院9-5敦賀気比」(24日、甲子園球場)
1回戦3試合が行われた。第3試合はセンバツ初のタイブレークに突入し、常総学院(茨城)が勝利。同校を全国区に育てて昨年11月に亡くなった木内元監督を弔う白星で、教え子の元プロ・島田直也監督(51)にとっては聖地初采配初勝利となった。第1試合は東海大菅生が今大会1号とセンバツ通算800号を放って快勝。第2試合は京都国際が初出場校対決を制した。
忘れられない1勝だ。3時間15分の死闘を制した瞬間、島田監督は両手を突き上げた。
負けられない試合だった。昨年11月に木内幸男元監督(享年89)が死去。今大会は名将が亡くなってから同校初の甲子園。島田監督にとっては母校を率いて聖地初采配だった。
センバツ史上初のタイブレークを経験。恩師の弔い星もつかんだ。教え子から手渡されたウイニングボールを見つめ、「本当にうれしい」と喜びをかみしめた。
強気の采配で勝利をたぐり寄せた。タイブレークに突入する延長十三回の攻撃前。「ほとんど(練習を)やっていなかった」というが、選手に攻める姿勢を示した。
「ここまで来たら打って勝とう」。同無死一、二塁。秋本璃空投手(3年)は初球にバントの構えを見せ、3球目にバスターを敢行。右前適時打で勝ち越すと、勢いづいて一挙4点とたたみかけた。
守備でも攻めた。同点の九回1死二、三塁。「攻める気持ちで。みんなで守ろう」。甲子園で春夏通じて初の申告故意四球で満塁策を取り、サヨナラ負けの危機を切り抜けた。
島田監督にとっても木内元監督は恩師だった。バッグには昨秋の関東大会直後に自宅へ訪問した際、一緒に撮った写真をしのばせていた。「『よく頑張ったな』って言ってもらえるかな」。一丸での勝利を、天国へ届けた。