3文字投手は大成する カープ伝説引き継ぐ大瀬良に北別府氏が期待
広島・九里に脱力のススメ-。常に全力投球が持ち味である同投手の投球スタイルに、デイリースポーツウェブ評論家の北別府学氏は「力を抜くことも覚えたほうがいい」と“遊び心”を提案。また大瀬良には「3文字投手は大成する」カープ伝説を披露し、大エースへの飛躍を期待した。
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開幕から2カードが終わり、ローテーション投手6人が、まずはひと通り投げ終えた。
2日のDeNA戦(横浜)から2巡目に入っていくが、その前に中日戦で投げた九里について、少し話をしてみたい。
チームにとっては開幕2試合目だったが、九里にとっては開幕投手と変わりない最初のマウンド。初戦を大瀬良で落としていることもあり、力が入ったことだろう。投げる前から緊張感が伝わってきた。
案の定というか、先に点を取られる展開を招いてしまったのだが、田中のホームランで追いついてもらい、早めに気持ちを切り替えることができたね。
九里に思うのは、どの試合にも、全力で必死に、全部を勝負球のように投げているように見える。それはとてもいい姿勢なのだが、もう少し力を抜くことを覚えてもいいのではないか。
球種も豊富に持っているのだから、もっと楽に勝てるようになると思う。
カウントによっては軽く変化球でストライクを取るとか。内外角の四隅を細かく狙う投球から、少しゾーンを拡げてみたり。遊び球や釣り球を見せることをしてもいい。それができれば疲労も軽減されるはずだ。
投球スタイルで言えば、上半身に頼る力任せの投げ方から下半身中心に投げる形へ。
体は頑丈だし、キャンプ2日目に300球以上投げるぐらい、気持ちを前面に出すタイプ。ストライクが取れて簡単に崩れなくなってきているし、年々成長しているのがよく分かる。
その中日戦では6回3安打1失点で勝利投手となった。だが、さらにその上を目指せる投手でもある。
次のステップはリラックス投法。勝負するところと抜くところを使い分けること。それが幅広い投球につながり、必ず今以上に勝てる投手になれる。
開幕戦の大瀬良は悔しい結果にはなったけど、七回までは素晴らしい内容だった。
去年の開幕戦の投球は沢村賞の獲得を予感させるほどよかった。故障で不本意なシーズンに終わったが、チームの大黒柱であることに変わりはない。
ところで、話は変わりますが、大瀬良も私も苗字が3文字。安仁屋さんも外木場さんもそうですが、みんな九州出身です。九州には3文字姓が多く、カープに九州の選手が多く入団したから目立つのでしょうね。
ちなみに鹿児島には北別府以外にも方角が食っついた“別府”姓があるんですが、ほかにも上別府、下別府、上中別府に今別府といろいろありますよ。
カープに入団したころ、「3文字の名前の投手は大成するんよ」とハッパをかけられたものです。
大瀬良にはこのカープの“伝統“を引き継ぎ(笑)、エースとしてもっともっと大きく羽ばたいてほしいね。
ちなみに3文字苗字の広島開幕投手は次の通り。
長谷川良平6回(通算197勝208敗)
大田垣(後に備前に改姓)喜夫3回(115勝149敗)
安仁屋宗八2回(119勝124敗22S)
外木場義郎5回(131勝138敗3S)
北別府学9回(213勝141敗5S)
佐々岡真司4回(138勝153敗106S)
大瀬良大地3回(57勝39敗2S)
(カープ3文字伝説と呼ばれるように、3文字苗字の開幕投手は12球団で最も多い)