阪神・佐藤輝は配球が読めていない ステップがすべて投手方向 北別府氏が分析

 阪神・佐藤輝は配球を読めていない。デイリースポーツウェブ評論家の北別府学氏が、不調に苦しむ怪物ルーキーの現状を分析した。広島3連戦の結果は12打数2安打1打点で8三振。本塁打は出たが、広島側の完勝に「投手陣の制球力の精度向上と内角攻めが勝因」と語った。

  ◇  ◇

 佐藤輝は西宮生まれで、近畿大学出身でしょ。タイガースの申し子みたいな選手だよね。彼にとって地元のチームに入れたことに強運を持っていると言えるし、運も実力のうちだとも思う。

 もって生まれた飛ばす力はなかなかマネのできないものだ。自分のポイントをもっているし、本当にいい新人選手が入ったね。

 ただ、先の広島との3連戦では結構苦しんでいたように見えた。

 初日は森下に速い球で内角を攻められ、結果3三振。

 2戦目の床田も高めの直球とスライダーで3三振。

 3戦目の中村祐は落とすつもりで投げた球が浮いてしまって本塁打されたが、やっぱり甘く入った球は打つね。

 私が見ていて思うのは、彼はどんな球に対しても、右足を投手側に向けてステップしてくる。

 よく言えば、「開かない」打ち方。これはいいことなのだが、おそらく球種やコースを読んで打つことが、まだできていないのだと思う。

 読んで打つ。これは簡単にできるものではない。スコアラーからは大量のデータが送られてくるが、実際に打席に立って、生きたボールを自分の目で確かめないと分からないことが多い。

 同じスライダーでもタテ割れするものもあるし、カットボールでもスピードや変化の大小はある。フォークやスプリット、ツーシーム…その変化の特長は投げる投手によって違うもの。

 全球団と、さらに言えば全投手と対戦しないことには、なかなか読んで打つことは難しいだろうね。

 だから今は、自分の感覚とタイミングでスイングしているのだと思う。

 もし私が彼に対して投げるとしたら、やはり内角を攻める。特に高め。直球あるいはカット系でカウントをかせぐ。そしてカーブなどの落ちる球で打ち取るイメージ。外角へは緩い球をボールゾーンへ投げる。外角の甘い球は危ない。

 かつて阪神では鳥谷が新人だったころ、同じような攻め方をされて苦労していたけど、2年目からは落としてくるボール球は振らなくなった。やっぱり慣れが必要だろうね。

 しかし、あまり内角を意識しすぎて対策を考え始めると、今度は逆に外角への対応がおろそかになることが多い。

 私は打ち取る側の人間だったけど、打者はそれを克服して一人前になっていく。12打数2安打、1打点。1本塁打。8三振。四球はなかった。あの3試合で、結構崩された感じだったね。

 今年のカープの投手陣は昨年に比べて、かなり制球力がよくなり四球が激減している。戦略通り、狙ったところへ投げられているというのも大きな要因になっていると思う。

 彼のよさは思い切りのいいスイング。あれだけ振れる選手は少なし、末恐ろしい。怖い存在だ。

 ツボにはまればスゴい打球を飛ばす。そのコツをつかんだら、本当の怪物になる思う。まあ、広島に対してだけは怪物であってほしくないけどね。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

野球最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(野球)

    話題の写真ランキング

    写真

    デイリーおすすめアイテム

    リアルタイムランキング

    注目トピックス