北別府氏が感じていた巨人・菅野の「危うさ」メジャー意識の副産物か
巨人・菅野智之投手(31)が、かつてない試練に立たされている。4度目の登録抹消を受けて現在2軍調整中。その球界を代表する投手の変調について、デイリースポーツウェブ評論家の北別府学氏は「去年から兆しがあった」と予感めいたものを感じていたという。
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去年は開幕から好投を続け、終わってみれば14勝2敗。堂々たる成績でメジャー挑戦を宣言したよね。
最終的には日本でプレーすることになったけれど、今年の菅野は投手出身の私から見ても気の毒なほどおかしい。
五輪を辞退しましたよね。原監督が“無期限2軍調整”を示唆しているほどだから、その深刻ぶりは尋常ではないと思う。
菅野といえば、球界を代表する絶対エースだけど、私は去年からある種の危うさを感じていたんです。
それは投球フォームの変化。もしかしたら本人にメジャー仕様の意識があったのかもしれない。あくまでも私自身の目線で感じたことだけどね。
下半身よりも上半身主導で投げる、いわゆる手投げになっている点。今シーズンの菅野は突っ立ったまま投げているように見えるけど、その傾向は去年からあったということ。
随分と強引だな、と思って見ていた。スピード表示で数字は出ていたし、成績も残したのだから“ケチ”のつけようのないシーズンだったんでしょうが、その点は気になってましたね。
メジャーの選手は骨格、筋力などの肉体、そして環境も違う。同じような投げ方をしようと思ったら相当な身体作り、環境に慣れるなどの工夫が必要になってくる。
メジャーに行った日本人投手に肘の故障が多いのも今後の研究課題と言えるね。
今年は肘の不安が伝えられている。投球時の形の崩れが、右肘に負担をかけるようになったのかもしれない。
それと長年の疲労。これは回避できないエースの宿命ですよ。くたびれているんです。私にも経験があるからよく分かる。その2つがタイミング悪く重なってしまった。
ただ、肘痛がその不調の一因なら、用心するに越したことはないと思う。小さな故障が大きな故障を引き起こす可能性があるからね。
若いころは、ピリっときても1週間ほどで治っていたものが、だんだん治りが悪くなる。年齢的なものだね。これは軽視できない。
この際、出場できなくなった五輪期間の中断を利用して立て直しを図るしかない。単純だけど下半身の強化。そして肘のケア。期間は短いが、焦りは禁物だね。
本人は首位を争うチームに貢献したいという気持ちが強いだろうが、取り返しのつかない事態を招くことだけは避けるべき。
復帰計画は慎重に進めてほしいね。日本球界のためにも、そしてメジャーで成功するという本人の夢を叶えるためにもね。