ヤクルト・内川 代打サヨナラ!巨人と再接近1ゲーム差
「ヤクルト4-3広島」(9日、神宮球場)
鮮やかに傘が揺れる。この景色を見るために、ここに来たんだ。今季2度目のサヨナラ劇の主役を、ヤクルト・内川が一振りでさらった。「ほかに言うことがないです、うれしすぎて」。言葉にならない喜びを、ファンの拍手が優しく包み込んだ。
1点を追う九回だった。代打・川端が同点打を放ち、なおも1死満塁で代打で登場。仲間の作り出した舞台を前に「迷惑はかけられない」と打席に向かった。5球目、変化球をはじき返すと、しぶとく中前に落とした。
プロ21年間で経験したことのない代打生活。「1打席の1球で一日が決まってしまう」と苦しんだ日々。それでも一番乗りでグラウンド入りし、入念な準備や早出ティー打撃…。外野を黙々と走り込み「1打席の中で後悔したくない」と自分自身と向き合ってきた。
「今日ここで打たなかったら出番ないな」と腹をくくった打席で広島戦28年ぶりの8連勝(2分けを挟む)を決め、2位巨人と1ゲーム差に縮めた。初めてのお立ち台。ようこそ、ヤクルトへ-。神宮の中心で、内川の笑顔が輝いた。