慶応・前田「自分が勇気あるプレーを」父は元広島の智徳氏 大会前の負傷に負けず奮投

 5回、三振にしとめ、雄たけびをあげる慶応・前田晃宏=サーティーフォー保土ケ谷球場(撮影・伊藤笙子)
試合後の囲み取材で父親譲りの笑顔を見せる慶応・前田晃宏=サーティーフォー保土ケ谷球場(撮影・伊藤笙子)
 息子・晃宏の応援に駆けつけた前田智徳氏(撮影・伊藤笙子)
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 「高校野球神奈川大会・1回戦、慶応5-4桐蔭学園」(12日、サーティーフォー保土ケ谷球場)

 元広島・前田智徳氏の次男である慶応・前田晃宏投手(3年)がリリーフで力投し、チームの逆転劇を呼び込んだ。五回途中から登板し、得意のチェンジアップを軸に3回1/3を5安打2失点。毎回の6奪三振で流れを引き寄せ、桐蔭学園との名門対決での勝利に貢献した。

 現役時代に故障と闘い続けた父のように、大会直前のアクシデントを乗り越えた。6月末に右膝を負傷。チーム練習を離れ、残りわずかの期間は電気治療など回復に専念した。ただ、「感覚は忘れないように」とイスに座ってでもネットスローは継続。不屈の闘志で間に合わせた。

 「ケガをしているからこそ、自分が勇気あるプレーをすることでチームを勇気づけられる」。逆転された直後に出番を迎え、なおも2死満塁と続く五回のピンチを空振り三振で切り抜けると大きくガッツポーズ。患部にテーピングを巻いた状態で臨むなど万全ではない中、奮闘するエースの姿は打線にも火を付けた。

 この日もスタンドから見守った父からは「『スライディングはするな』と言われました」と助言をもらっていたが、七回には一走として二塁へ果敢に滑り込んだ。「やっぱりできる限り、最後の夏はやりたい。一生懸命にプレーして、誰よりも輝く」。できうる限りを尽くし、集大成の夏としてみせる。

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