新田・長谷川聖天 小説家の夢追う、コロナ禍で新たな挑戦 適時打放ち「悔いなし」
「全国高校野球選手権・2回戦、日本航空5-3新田」(21日、甲子園球場)
新田(愛媛)の長谷川は狙い球を完全に絞っていた。七回2死一、二塁の好機。「スライダー100%で張っていた。前の3打席は全てスライダーで崩された」。読み通りに来たスライダーを、1点差に迫る二塁強襲の適時打とした。
勝負どころで発揮された読み。野球だけで培われたものではない。3月中旬、新型コロナの影響で部活がなくなると「小説を書く」という新たな挑戦に取り組んだ。参考にしたのは失恋したサラリーマンと、家出女子高生の交流を描くラブコメディー。自分で書くのもラブコメだ。練習再開までの1カ月半、B5のルーズリーフ20枚に書き上げた。
実戦練習が再開されるとこれまでにない感覚を味わった。「相手がどこに投げてくるか、なんとなくわかる」。執筆との因果関係は不明だが、文字から状況や登場人物を想像するように「投手がどんな表情で投げているのか」を意識するようになったことが生きた。
甲子園で確かな足跡を残し「悔いはない」と言い切った。「小説家」の夢を抱き、挑戦を続けていく。
◆長谷川 聖天(はせがわ・せいや)2003年12月6日生まれ。愛媛県出身。172センチ、70キロ。右投げ左打ち、外野手。小2から野球を始め、愛媛港南リトルリーグ、松山中央ボーイズに所属。1年秋から三塁手として出場。2年秋から外野手として出場している。