広島六大学野球秋季リーグが28日開幕 広経大、近大工の“2強”に挑む広修大
広島六大学野球秋季リーグ戦(デイリースポーツ後援)が28日に開幕する。広経大が4連覇を目指す中、ダークホースとして注目されているのが広修大。今年の春季リーグでは7季ぶりにAクラス入り(3位)。強豪・近大工からも勝ち点を奪った。「優勝して全国でも勝利を挙げることが目標」と坂本連太郎主将(3年)。開幕を前にチームの士気は高まっている。
◇ ◇
前回の優勝は1983(昭和58)年の秋季リーグ。六大学で最も優勝から遠ざかっている広修大が本気で頂点を狙っている。4連覇を目指す広経大、V奪回を狙う近大工の“2強”の壁は厚いが、坂本主将は「チーム内に勝ちたいという意識が芽生えている。リーグ優勝はもちろん、全国の舞台でも勝てるチームを目指して練習してきた」と“大番狂わせ”を狙っている。
春季リーグでは久しぶりに存在感を示した。圧巻だったのが1勝1敗で迎えた近大工との第3戦。1点を追う九回2死満塁から坂本がバックスクリーンへ逆転サヨナラ満塁弾を放り込んだ。7-4で勝利し、近大工から勝ち点を奪った。
勢いに乗ったチームは5勝5敗、勝ち点2を挙げ、7季ぶりにAクラス入り。坂本は打率4割6分9厘で初の首位打者を獲得した。捕手としても投手陣を引っ張り、ベストナインにも選ばれた。リーグ終了後に主将に就任。広陵時代は3年夏に甲子園にも出場しているチームリーダーは、今季も攻守でチームを引っ張っていく。
OBでもある高木智監督(37)も「力のある選手も多い。それなりに戦えるのでは」と手応えを感じている。1年間のコーチ生活を経て18年春季リーグ後に監督に就任。当時、チームには「負けてもしょうがない」という雰囲気があったが、ミーティングなどを通じて選手に「貴重な大学生活。せっかくやるなら、もっと上を目指してやっていこう」と根気強く語りかけた。
現在は大学職員だが、前職は就職情報会社に11年間勤務。その経験も生かし、野球部の公式ホームページを作成。一人一人に目標を設定させるなど、あの手この手でやる気を引き出そうとした。徐々にチームの空気が変わり始め、選手間で競争意識が生まれた。アルバイトで稼いだお金でトレーニングジムに通ったり、野球用具を購入するなど自己投資に充てる選手も増えてきた。19年秋季リーグでは近大工に7-0でコールド勝ち。「今から思うと、あの試合がターニングポイントになった。選手が“自分たちもやればできるんじゃないか”という気持ちになった」。地道な意識改革の取り組みが今春のAクラス入りにつながった。
投手陣は平本一輝投手(4年)と伊藤駿吾投手(3年)の“2枚看板”に安定感がある。エース右腕の平本は春季リーグで4勝(2敗)を挙げ、Aクラス入りに貢献した。「リーグ戦前の故障で調整不足の中、この成績を残すことができた。今季はどこも不安がない。投げる試合は全部勝ちたい」と力を込める。大学ラストシーズンでもあり「最後はいい形で終われるように先発だけでなく中継ぎでもスタンバイする」とフル回転を誓う。
右腕の伊藤は済美高時代はレギュラーとして2年連続で夏の甲子園に出場。3年時はベスト4に輝いた。高校では内野手だったが、広修大では「前からやりたかった」という投手に転向。今春から頭角を現した。筋トレにも励み、直球は最速148キロ。「ハマれば150キロは出ると思う」と頼もしい。「点を取られなければ負けることはないので全試合完封を狙う。防御率のタイトルも取りたい」と気合十分だ。
打線は金子大輝外野手(4年)と木曽秀一内野手(4年)の1、2番コンビの出塁率が高く、3番を打つ坂本はチャンスに強い。今季はさらに勝負強さに磨きをかけ、「春は長打が少なかったので、秋はOPS(長打率+出塁率)にこだわりたい」と意気込む。
「大量失点してしまうと、なかなか返せないので、全員でしっかり守って少ないチャンスをものにする野球をしていきたい。理想のスコアは5-3。3点以内に抑えれば、9イニングある中で、いろんな形で5点は取れるんじゃないかと思っている」と高木監督。チーム一丸となって挑む秋の陣。広修大が長い低迷期を抜け出し、凱歌を上げる。