ヤクルト“下克上V”を許した5球団の敗因 評論家が指摘
プロ野球のセ・リーグはヤクルトが6年ぶり8度目のリーグ優勝を果たした。
2年連続最下位から大躍進。デイリースポーツ評論家・関本四十四氏は「コロナもあり調整に苦しむ選手が多いなかで、ヤクルトは高津監督のもとけが人の離脱者もほとんど出ず、外国人選手も機能した」と振り返った。
一方で、“下克上V”を許した5球団の敗因は何だったのか。苦杯をなめた各チームの今季を振り返る。
【2位・阪神】佐藤輝、中野、伊藤将のルーキーが活躍し、開幕ダッシュに成功。一時は2位に7差をつけた。だが、打線の勢いが止まると夏場に失速。10月は粘り強く白星を重ねたが、16年ぶりVの夢は散った。
関本氏「貯金21は立派な数字だが、あえて言うなら西勇の不調が痛かった。それと、4番として期待された大山がもう一皮むけないと。投打の軸が固定できなかった」
【3位・巨人】8月31日には一時首位に浮上した。だが、9、10月に大型連敗を喫するなど大失速し、3連覇を逃した。チーム本塁打数はリーグトップもつながりを欠き、投手陣も踏ん張れなかった。
関本氏「菅野、丸ら主軸の不振も響いたが新戦力、外国人が機能しなかった。9、10月の低迷は打線が原因。中田もプラスにならず、岡本の後ろを打つ5番が今年も埋まらなかった」
【4位・広島】コロナによる離脱者が出た影響も響き、交流戦だけで借金9。ルーキー栗林が守護神で奮闘したが、層が薄くチーム防御率はリーグ5位と沈んだ。終盤に追い上げをみせたが、3年連続Bクラスとなった。
関本氏「鈴木誠也も9、10月に打ちまくったが、エンジンがかかるのが少し遅かった。投手陣は調子の波が激しく、もろい印象。栗林への負担が増し、来年以降けがをしないか心配になる」
【5位・中日】チーム防御率はリーグトップ。だが、総得点はヤクルトと200点以上も差をつけられるなど、今季も課題の貧打解消はできなかった。今季限りでの与田監督の退任も決まった。
関本氏「打線は怖さもなく、いやらしさも感じない。相手投手からすれば、今年もビシエドに気を使えばいいくらいだった。来年は長い目で見て根尾、石川ら若手を辛抱強く使っていくことも必要」
【6位・DeNA】コロナの影響で外国人の合流が大幅に遅れ、4月中に借金16。打線はルーキー牧が奮闘したが、チーム防御率はリーグ最下位に沈んだ。就任1年目の三浦監督にとっては厳しいシーズンとなった。
関本氏「この球団は昔から投手が2年、3年と活躍が続くことが少ない。今永、東、浜口もそう。打線は破壊力がある一方で、足を使える選手がいない。投手力の強化も含め、接戦で勝てるチーム作りをしていけるか」