オリックス 96年のV戦士放出で途絶えた伝統 福良GM-中嶋監督体制で再構築

 オリックスが25年ぶり、13度目のリーグ優勝を果たした。27日に2位・ロッテが楽天に敗れ、確定した。25日に全日程を終えていたため、この日は中嶋聡監督(52)以下、ナイン、スタッフらが京セラドーム大阪に集結し、仙台の戦いを見届けた。

  ◇  ◇

 1996年、初の日本一になったオリックスを担当した。長く黄金時代が続くと信じて疑わなかった。だが、実際にはそこから1度も頂点に立つことはなかった。

 編成の失敗があった。優勝の翌年には馬場、本西、勝呂と堅い守備を支えてきた職人を一気にトレードで出し若返りを敢行。ここが分岐点だった。以降もイチロー、田口、中嶋、星野、平井らV戦士が年を追うごとにチームを離れていった。

 現GMの福良淳一は日本ハムを経て2013年にオリックスに復帰してがく然とした。

 「伝統がなくなっていた。もう1回作り直さないといけない」

 安易な補強に突き進むあまり、阪急時代から受け継がれてきた伝統は消えていった。さらに05年、近鉄との合併が決定打となった。

 福良GM-中嶋監督体制の誕生によって、伝統の再構築に着手。ドラフトは将来性重視に転換。コーチ陣には「選手と一緒になってやれる熱心な人」を基準に集めた。春季キャンプの1、2軍振り分けを廃止。メインとサブ球場で同時にチームプレーの確認。メンバーをシャッフルしながら意思統一を図った。

 選手起用にも長期的な視野が加わった。高山投手コーチは「誰も故障させるわけにはいかない。選手には1年でも長くやらせたい。本人にとってもチームにとってもいいことだと思う」。これこそが、中嶋監督が目指してきた戦い方だ。

 まだ頂点ではなく成長過程で迎えたVだ。令和はオリックスの時代になると確信している。(1996年、2016~21年・デイリースポーツ・オリックス担当・達野淳司)

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