オリックス・山本にヤクルト・奥川が上回るものとは 北別府氏の日本シリーズ展開予想
オリックス・山本由伸とヤクルト・奥川恭伸。日本シリーズで投げ合えば、どっちが勝つのか?デイリースポーツウェブ評論家の北別府学氏は「山本のフォークは分かっていても打てない」とする一方で、「制球力に勝る奥川も負けていない」と語り、両者の立ち上がりに注目する。
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投手4冠(勝利数、防御率、勝率、奪三振数)の山本は球界を代表する投手。球は速いし、フォークは分かっていても打てない。シーズンを15連勝で終えて、CSでもロッテを完封でしょ。つけ入るスキなどないように思えて仕方ないよ。
しかし、ヤクルトの奥川も投げるたびに成長している。4月にプロ初勝利を挙げてから、中10日をきっちり守る起用で順調に育ってきてる。こちらも将来性豊かな投手。
オーソドックスに戦うなら、初戦はこの2人が投げ合うはず。では、どんな展開が予想されるのか。はっきり言ってこの投げ合い、どうなるか分からないね(笑い)。
想像を超えたことが起きるのが日本シリーズあるあるだから。
日本シリーズはシーズンとはまた違った緊張感があって、しかも第1戦はプレッシャーがかかるもの。
ただ私の場合は、あまり緊張した記憶はないけど、1勝もできなかったね。
(北別府学は1979、80、84、86、91年に日本シリーズ出場。11試合に登板し、5試合に先発して0勝5敗と勝ち星には縁がなかった)
私みたいに9回投げて2、3点取られるタイプは短期決戦に向いてないんですよね。早め交代でベンチに下がってしまうんで。
それに比べれば、山本も奥川も力で抑え込んでいくタイプ。短期決戦でも頼りになる投手だよね。
実績やキャリアで見ると、当然、山本に軍配が上がるけど、奥川にもアドバンテージがある。それは制球力ですよ。
今年105イニング投げて与四球はたったの10個でしょ。与四球率は0・86。驚異的だと思うね。
山本の与四球率は1・86。これも素晴らしいね。ただ、ちょうど「1点」の差がある。リーグが違うので単純比較は難しいけど、ここに“つけ入るスキ”があると見た。
ただし、山本から点を取るのはヤクルトの打線。そこを見ないとダメだけど、今年のヤクルトは粘っこい打撃をしているよね。
同じ四球の話をすると、ヤクルトが獲得した四球数はセ・リーグ1位の513個。オリックスは384個。かなり違う。
コツコツ当てて、ねちっこく来るヤクルト打線対オリックス投手陣。このシリーズの構図をそんなふうに感じているのだが、まずは山本に対してどんな打撃をするか。
そして初回。立ち上がりのマウンドを山本、奥川両投手が、どうさばいていくか。興味深い。
それにしてもオリックスは去年とほとんど顔ぶれが変わらないのに、こうもチーム力が上がるもんだね。杉本の成長ぶりはすさまじい。宗や若い宮城も紅林も。だれが打つか分からなかった1番に福田が固定されているし。
ヤクルトも同様で、特に後半にかけて調子を整え、2軍から上がってきた投手が目についた。打力だけに頼らず投手を中心に、143試合かけて実力を蓄えていったね。
面白いシリーズになると期待している。前年最下位から日本一を目指す。第1戦は2人が投げ合うのかどうか分からないが、とにかくワクワクするカードだね。