巨人はオフシーズンに突入し、本格的な戦力整備が行われている。これまでに１７人の選手が育成での再契約見込みで自由契約となり、そのうち山下航汰外野手は自ら退団して他球団移籍を模索する道を選んだ。

　１９年まで巨人コーチを務め、デイリースポーツ・ウェブ評論家の内田順三氏（現ＪＲ東日本外部コーチ）は山下の今後に太鼓判を押すとともに、来季ブレークを期待する剛腕の名前を挙げた。

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　やはり、自分が携わったということもあり、山下の今後は気になるね。彼のいい時を知っているからね。高卒で育成選手として入り、１年目（１９年）から支配下選手登録。ファームで首位打者にも輝いたほどの逸材だ。体は大きくなくガンガン飛ばすわけではないが、「オリックス・吉田正のようになれる」と本人にも伝えていた。あれだけの選手はなかなかいない。

　原監督も期待していたからね。ただ、昨年、右手有鉤骨を骨折して出遅れ、直りかけていたところで肘を痛め、相次ぐけがに苦しんで右往左往してしまった。ＪＲ東日本と試合をした時にも少し見たが、以前よりオーラが弱かった。うまくいっていないな、というのは分かった。二岡（当時３軍監督）も「殻に閉じこもりいいものが出ていない」というようなことは言っていた。

　支配下から育成にするのは球団としてもいろいろな考えがあるからだが、山下本人も悶々とするところがあったのかもしれない。勇気のいる決断だったとは思う。ただ、他球団の編成は１年間ファームの試合をしっかり見ているから実力は分かっているはず。技術は間違いなくあり、飛躍する可能性を持っている。フォームどうこうも大事だけど、もう一回冷静に自分を見つめ、初心に返って頑張ってほしいね。

　自由契約を伝えられた選手の中で言えば、もう一人、気になるのは堀田だね。ドラフト１位で入ったが、けがでトミー・ジョン手術を受け、１年目は棒に振った。でも、リハビリを経て今年実戦復帰。試合をした慶大・堀井監督、セガサミーの監督をやっている西田（元広島）も絶賛していたよ。西田は「１５０キロを超えるすごい球を投げていた。あの選手は楽しみですね」と言っていたね。

　年齢で言えば奥川や佐々木朗と同い年だけど、大学３年生と考えると、その年齢で１５０キロを投げるような選手はなかなかいないからね。下地を作るための育成契約だろうから、焦ることなくやってほしい。十分にやれる可能性は秘めている。