オリックス逆転サヨナラで先勝 鉄人・吉田正決めた!「あんまり覚えてない」
「日本シリーズ・第1戦、オリックス4-3ヤクルト」(20日、京セラドーム大阪)
25年ぶり日本一を目指すオリックスは九回、2点差を追い付きなお無死一、二塁で吉田正尚外野手(28)が中越えサヨナラ二塁打。ヤクルトに先勝した。これでパ・リーグ球団は2018年の第3戦、ソフトバンクが広島に勝って以降、日本シリーズ13連勝となった。
打った瞬間、吉田正は右手を上げた。笑顔になった。劇的なサヨナラ勝ち。もみくちゃにされ、ナインに抱きつかれ、ウオーターシャワーに身を任せた。
今季最多1万9297人を魅了したヒーローはお立ち台で「いやぁしびれましたね」と真っ白な歯を輝かせた。
2点を追う九回。先頭の紅林の右前打がミラクルの始まりだった。代打・ジョーンズは粘って四球。福田の犠打が相手野選を誘い満塁とし、宗が中前に同点打を放つ。
ドームは最高潮の盛り上がり。吉田正は心拍数が上がるのを感じながら打席へ向かった。マクガフの初球153キロを捉え、前進守備の塩見の頭上を越すサヨナラ打になった。
「正直あんまり覚えてないですね。(五回2死一、二塁の)センターフライもちょっとショック受けるような自分の中で。あれ?と思った。最後にチャンスで回していただいたので、なんとか、本当に勝ち抜けてよかったです」
いい当たりが抜けない。捉えたと思った打球がフェンス手前で失速する。ズレを少しずつ修正して5打席目に爆発させた。
この場に立っていること自体が奇跡だ。10月2日・ソフトバンク戦で右手首に死球を受け右尺骨骨折。約1カ月でCSファイナルSに出場した。打席に立てると信じてリハビリを続けてきた。その日々を問われると、言葉に詰まった。
「いろいろといい思い出になりそうです。頑張ってきたというか、当たり前なんですけど、ここに合わせて本当によかったです」
頼れる主砲の戦列復帰でポストシーズンは引き分けを挟んで無傷の3連勝となった。
「最終回にチャンスを作って、諦めずに戦ったシーズンのような戦い方。日本シリーズでそれが出せた。この勝ちを自信にしてチームがもっと上にいけるんじゃないですかね」
“全員で勝つ”の合言葉は大舞台でも生きている。25年ぶりの日本一へまず1勝。不死身の鉄人が流れを引き寄せた。