巨人 大量“育成落ち”の狙いは?「3軍を抱えるからこそできる」内田順三氏の解説
巨人は来季へ向け、これまでに計17選手に対して自由契約にすることを通達。他球団移籍を模索する道を選んだ山下を除き、全員を育成選手として再契約する見通しだ。“育成落ち”となった選手も多いが、チームの狙いはどこにあるのか。19年まで巨人巡回打撃コーチを務めていたデイリースポーツウェブ評論家・内田順三氏(現JR東日本外部コーチ)に聞いた。
◇ ◇
これは3軍を抱える巨人だからこそできること。支配下登録枠に限度があり、球団もいろいろな理由で育成契約にするとは思うが、当然、伸びしろや復調に期待しているから契約する。競争心をあおる狙いもあるだろうし、育成選手は3軍から2軍、そして1軍とステップを踏むことが求められる。
そもそも巨人やソフトバンクが3軍を持つ意義というのは、選手が成長するにはやっぱりゲームを経験することが一番だから。2軍には中堅やベテランまで1軍のスタンバイ選手がいたり、A~Cまでランク分けされた新人の選手がいたりする。期待される強化指定の選手は2軍で年間何百打席に立たせるなどのチーム方針があり、どうしても出場機会が限られる選手が出てくる。そうした選手は3軍の試合に出場していくことになる。3軍にもある程度の実力ある選手がいないとゲームが成立しないからね。
ここ最近の巨人では松原がいい例で、彼は走力という一芸を評価されてプロ入りしてきた。守りでもポカが多かったが、実戦を数多く積むことで課題も解消されていった。打撃も荒かったが、パンチ力があり逆方向にも打てたことで、徐々にステップアップして1軍でレギュラーをつかめる位置にまで成長した。今年1軍で活躍した八百板、増田大も3軍から上がった選手だよね。
今回、自由契約になった選手を見ても、素材はいい選手がたくさんいる。ロッテ時代の香月はファームで見ていた時からいい選手だと思っていた。増田陸もコーチとして接したが、坂本の後の遊撃候補として可能性を感じていた選手。鍬原もけがに苦しんでいるがドラフト1位の選手だし、横川も1軍でいい球を投げていたよね。
当然、育成選手になればチャンスは少なくなっていくのはプロの世界だから仕方がない。育成選手になったことを受け止めながら、自分で考えてやっていくことも大事。歯車さえかみ合えば飛躍できる可能性はある。ビジョンを作って、ステップアップするんだという強い気持ちを持ってやってほしいね。