伯和ビクトリーズ 6年ぶり「全国1勝」狙う 都市対抗野球28日開幕
社会人野球の伯和ビクトリーズ(東広島市)が都市対抗大会(11月28日開幕・東京ドーム)に3年ぶり10度目の出場を果たす。今夏の日本選手権では初戦敗退し、悔しさをバネに練習に励んできた。目指すは2015年以来となる全国1勝だ。
◇ ◇
6月の日本選手権に続き、今年2度目の全国切符をつかんだ。10月に行われた都市対抗中国予選(山口・津田スタジアム)。伯和は第1代表決定戦でJR西日本に6-2で快勝し、東京ドーム行きを決めた。
3年ぶりの都市対抗出場。チームの大黒柱として期待が懸かるのが左腕の平岡航投手(26)。京都学園大(現京都先端科学大)から入社して4年。1年目からエースとして奮闘してきた。1年目に都市対抗のマウンドを経験。2、3年目も補強選手として出場しており、全国舞台の経験も豊富だ。「チームでは半分ぐらいの選手が初めての都市対抗だし、勝ったことのある選手はだれもいない。チームの目標はベスト8だが、まずは1勝したい」と力投を誓った。
仕事は伯和が経営する「スポーツクラブHAKUWA」(東広島市)でインストラクターをしている。勤務時間は平日朝から午後1時まで。年配のお客さんが多いという。「皆さん、野球のことを気にしてくれていて、予選の時には応援に来てくれた方もいた。そういう人たちの応援があるから頑張ることができる」。感謝の思いも込めて勝利の朗報を届けるつもりだ。
就任3年目の内山孝起監督(36)もエース左腕に全幅の信頼を置く。「彼のいいところはゲームをしっかり作ってくれるところ。中国予選でも長い回をしっかりと投げ切ってくれた」。平岡の後には新人の成田達也投手(23)らが控え、さらに補強選手として他チームから2投手が加入。「投手を中心にしっかり守って接戦に持ち込めれば勝機はある」と青写真を描く。
日本選手権では1回戦の三菱重工East戦で敗れた。1点リードの九回に守備のミスが出て逆転負け。「全国で勝つことの難しさを改めて感じた。(都市対抗では)まずは1勝できれば。若いチームなので一つ勝って勢いづくことができれば面白いかなと思っています」と指揮官。
これまで都市対抗には9度出場し、最高成績は12年のベスト8。日本選手権も7度出場し、15年に4強入りしたが、全国舞台での勝利はその15年が最後。「一戦必勝でチャレンジャーの気持ちで戦いたい」と藤沢直樹主将(28)。初戦(29日)の相手は四国銀行(高知市)に決定。6年ぶりの全国1勝へ向けて、ナインの士気は高まっている。
◇ ◇
JR西日本、JFE西日本など強豪ひしめく中国地区だが、伯和は今年、日本選手権と都市対抗でともに第1代表の座を勝ち取った。着実に力をつけている理由の一つに、昨年から親会社の伯和が社を挙げて取り組んでいる「ボトムアップ理論」の導入がある。
広島観音高の元サッカー部監督だった畑喜美夫氏が提唱したもので「現場主導の組織運営」を意味する。スポーツの世界でいえば、監督の指示に選手が従う「トップダウン」「上意下達」ではなく、選手が自主的、主体的に物事に取り組むことでチームの強化を図っていくことを指す。
伯和でも選手自らが目標を決めたり、練習メニューを作成。選手だけのミーティングも頻繁に行ってきた。また、日頃から礼儀を大切にし、ゴミ拾いや整理整頓を心掛けるなど“人間力”も磨いてきた。「選手一人一人が精神的にも成長したと思います」と藤沢主将も変化を感じている。