高津ヤクルト 恩師・野村野球継承で日本一 「散々話をした後に『最後は神様に…』」 

 胴上げされる高津監督(撮影・山口登)
 山本と握手する高津監督
2枚

 「日本シリーズ・第6戦、オリックス1-2ヤクルト」(27日、ほっともっとフィールド神戸)

 ヤクルトが延長十二回の死闘を制し、対戦成績4勝2敗で20年ぶり6度目の日本一に輝いた。前年リーグ最下位からの日本一は1960年の大洋(現DeNA)以来で、史上2チーム目。就任2年目の高津臣吾監督(53)は恩師である故・野村克也氏の野球を継承し、見事に成就させた。

 みんなで泣き、最後に笑った。高津監督が一歩、また一歩…。輪の中心に歩み寄る。気温8度。かじかむような寒さに耐えて、待った歓喜の瞬間だ。「心から感謝、感謝、感謝です」。神戸の空に舞う。日本一だ。

 最下位からの下克上が、最高の形でフィナーレを迎えた。盛り上がる選手たちに背中を押され、今季3度目の胴上げはこれまでで最多の10回。頼もしい選手たちが誇らしかった。駆けつけたファンに帽子をかかげ、声援に応えると、指揮官は最後まで笑顔だった。

 あれから1年。あっという間に過ぎた。20年11月25日。新型コロナウイルスで遅れて始まったシーズンの影響を受け、昨年の誕生日は自宅で日本シリーズを見て過ごした。指揮官として挑んだ1年目は最下位。王者同士のぶつかり合いに思いをはせ、「選手をあの場所に立たせてあげたい」と強く願った。

 自分自身、現役時代に4度立ってきた大舞台でもある。勝つことで得た喜び、負けることで知った悔しさ。この経験を、今季は全員で味わえている。第1戦の決戦前には、チームスタッフ全員を集めて“ラストミーティング”。中心で「絶対、大丈夫」と声を上げると、「ちょっと広がろうか、肩を組もうよ」と全員でスクラムを組んだ。

 目指すは、恩師である野村克也氏の野球の継承だ。連日のように行ったという長時間のミーティング。「この投手をどう打つか、この打者をどう抑えるか」。高津監督は92年、93年の日本シリーズを思い返していた。

 2年連続で西武との頂上決戦。前年は3勝3敗で第7戦までもつれたが、最後は惜敗した。そして93年、またしても3勝3敗となった。第7戦の朝、当時の野村監督がミーティングでこう、言葉を紡いだという。

 「『こうやってミーティングをしたけど、結局勝負は時の運や』と。散々話をした後に、『最後は神様にゆだねろ』。すごく僕的には気分が楽になった」

 できる限りの準備をした上で、天命を待つ。たくさんの教えは、高津監督の心で生き続けている。選手たちへの思い、信頼は不変。「しっかり腹をくくって、前のめりで、しっかり勝負しなさい。勝ち負けは神様が決めるから」と全力プレーができるよう、最後まで背中を押した。

 最後に5時間の死闘を乗り越えて立った20年ぶりの頂点だ。選手として立った舞台に、今度は指揮官として最高の景色を見つめた。ありがとう、頑張った。言っただろう?「絶対に、大丈夫だ」-と。

 ◆20年ぶりの日本一 ヤクルトが4勝2敗でオリックスを破り、2001年以来20年ぶり6度目の日本一。セ・リーグ球団の日本一は12年・巨人以来9年ぶり。日本一回数はセ・パともに36度ずつで並んだ。オリックスとの対戦は阪急時代も含め、3度すべてヤクルトが日本一。前年最下位球団の日本一は1960年・大洋以来、61年ぶり2度目。

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