「日本シリーズ・第６戦、オリックス１－２ヤクルト」（２７日、ほっともっとフィールド神戸）

　名前を呼ばれると、両手を突き上げ笑顔を見せる。仲間の大喝采を受け、お立ち台に向かった。扇の要が２０年ぶりの日本一に大きく貢献。全６試合でマスクをかぶりつづけたヤクルトの正捕手・中村が日本シリーズＭＶＰに輝いた。

　「とにかくチームが勝てばそれだけでいいと思っていたので、本当に日本一になれて幸せです。ピッチャー陣もありがとう！！」

　日本シリーズでは打率・３１８、３打点と勝負強さを発揮した。想定外の受賞に、「１年間頑張ってきた成果で、最後のご褒美なのかなと思います」と笑顔を見せた。第１戦では沢村賞投手の山本から先制打。第３戦では逆転打を放った。

　２年連続最下位からの巻き返しに奮闘した。２月のキャンプでは臨時コーチを務めたＯＢの古田氏から「その気になれ」と激励を受けた。その言葉を胸に戦い、選手会長としてチームを引っ張った。

　みんなに愛される“ムーチョ”は、涙を流しながら日本一の輪に加わる。「毎日“絶対大丈夫”と自分に言い聞かせていた」。自分を信じた男の表情は充実感に満ちていた。