無双のオリックス山本由伸「まだ伸びる」佐藤義則氏が分析「さらにすごい投手に」

 球界ナンバーワンピッチャーの名にふさわしい活躍を残した今季のオリックス・山本由伸投手。15連勝フィニッシュで18勝5敗、防御率1・39。各部門トップに加えMVPに沢村賞など、受賞ラッシュもうなずける。数多くの好投手を育ててきたデイリースポーツ評論家・佐藤義則氏(67)は山本のすごさを分析する一方、さらなる伸びしろにも言及した。

   ◇   ◇

 山本の特性はやはり、ボールの強さと、各変化球の質にあると言える。150キロを超える直球を持ちながら、すべての変化球にも自信をもってストライクを投げ込める。

 例えばカーブの曲がり幅やブレーキの鋭さは非常に高いレベルにある。これは、この球を待っていなければ絶対に打てないくらいの力を持っている。にもかかわらず、それを使わなくても抑えることができる総合力もある。

 基本は直球と、フォークの組み合わせ。そのフォークも、ストライクを取るためのものと、空振りを取りに行くものと、投げ分けをしているように見える。これもかなりの技術が必要だ。

 これら素晴らしいボールを手に入れた一番の理由は、バランスの良さにあると感じる。左右ともしっかりと足を踏ん張っていられるので、重心はやや高めなのだが、それも欠点になっていない。よく粘れるフォームで、例えば巨人・菅野の腕力に対して山本はバランスで投げる、という、好投手でも面白い対比ができる。

 またウエートトレーニングをしないと聞くが、これも問題ないだろう。例えば私も現役終盤にはウエートトレを採り入れたが、それはランニング量が減った分を補うという狙いがあった。つまり年齢をカバーする目的で、若い山本には必要ないと思う。

 これほどの成績を残した山本に注文もないのだが、それでも野球に100点がない以上、「さらに上」を目指すことはできるだろう。例えば制球力をもう一段高める。ゾーンいっぱいで“出し入れ”できるようなレベルまでいけば、長く通用するだろう。

 さらには、配球。大きな武器であるフォークは、基本的に力が必要なボールだから、多投し過ぎると中盤以降になって右手の握力が落ちてくることがある。例えば、打力の弱いチームの下位打線などは「真ん中でいいや」といった、余裕を持った投球で、フォークの数を減らすこともできるだろう。

 制球と、配球を駆使し、少ない球数で1試合を投げきる。そのあたりを目指せばさらにすごい投手になるのではないか。

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