新庄監督評価もオファーなし 妻「綱渡りみたいな生活」選んだ道は?「戦力外通告」
昨年阪神から自由契約となり、今季は台湾・中信兄弟でプレーした高野圭佑(30)が28日放送のTBS系「プロ野球戦力外通告2021」に出演。野球関係の職のオファーを蹴って、妻の内助の功を受けながらNPB球団復帰を目指して浪人することが伝えられた。
高野は2015年、JR西日本からドラフト7位でロッテ入り。19年7月にトレードで阪神に移籍した。20年は1軍登板がなく、11月に戦力外通告。トライアウトを受けたがオファーはなく、台湾・中信兄弟入りした。
台湾では結果を残せず2軍落ち。10万円ほどの2軍での月収は台湾での生活費で消えた。金銭面の負担は、日本に残した知圭子夫人(33)、長男の結槙ちゃん(4)にも大きい物だった。
知圭子夫人は職を求めて面接を受けた。だが幼稚園児をかかえて職に就くことは難しかった。貯金を切り崩しての切り詰めた生活。「この1年間収入がないに等しかったんですけど。出て行くばっかりで。綱渡りみたいな生活ですけど一生懸命頑張っていたらいつか報われる時がくるんじゃないかなという気持ちです」と心境を語った。
台湾球界からは1年で戦力外通告を受けた。そして今年も12球団合同トライアウトを受験した。トライアウト受験は2回までと決まっている。最後のアピールの場だった。
期待させる報道もあった。視察した日本ハムの監督に就任した新庄剛志ビッグボスから「真っすぐはスピードがなかったんだけど芯を外すカットボールが面白いんじゃないかと思った」と名指しで評価されていた。
だが、期限とされる5日間、NPB球団からのオファーはなかった。かかってきた電話はNPB選手会からのもの。ベースボールアカデミーの講師か、北海道の独立リーグの指導者兼選手というものだった。
選択肢は3つ。講師か指導者兼選手、そして浪人-。
妻は問う「現役でやっていきたい気持ちがあるのか、選手でなくて違う形で野球に関わっていきたいのか。どういう気持ち?」
「ちょっと時間が必要かな。今すぐには…」。高野は言葉を濁した。
妻は再度問う。「率直に自分の気持ちはどうなのかな?」
「やれるっていう自信はもちろんあるよ」。キリッとした表情で答えた。
安定した収入を得られる道を蹴って、選んだ道は浪人だった。知圭子夫人は「気持ちの部分が一番大事なことだと思うので、選手としてやっていきたい気持ちが本人の中にあるなら挑戦してもらいたいと思います。それに向けて全力で家族でサポートしていきたいと思います」と話す。
夢を追う夫のサポート。そこには条件をつけた。
妻「今年の生活って、やっぱり大変だったじゃない。野球選手としてまたやっていくってなったら、期限きめて。1年くらい?続けられて」
高野「1年は期限かなって思うし」
妻「お金を頂きながら野球を続けられるならいいよね」
限られた1年間で、NPB復帰という目標に臨む。