現ヤクルト監督・高津臣吾氏が野球殿堂入り ノムさん、古田氏に感謝「縁を感じる」
野球殿堂博物館の表彰委員会は14日、今年の野球殿堂入りを発表した。競技者表彰のプレーヤー表彰では日米通算313セーブ(日本で歴代2位の286セーブ)を記録した現ヤクルト監督の高津臣吾氏(53)、中日で史上最年長勝利を含む通算219勝を挙げた山本昌氏(56)を選出。特別表彰では東海大の創設者で首都大学リーグを設立した故松前重義氏が選ばれた。
感謝と出会いが導いた殿堂入りだった。高津監督が少しだけ表情を緩める。「ここ数年何票か届かず、殿堂には縁がないかなと思っていたんですけど。人との出会い、そして縁をここに立ってすごく感じています」。16年に候補となってから、7度目での選出だった。
入団直後の出会いが、高津監督の野球人生を大きく動かした。当時監督だった恩師・野村克也氏に導かれるようにスタートを切ると、ある一言が野球人生を変えた。「高津、100キロのシンカーを投げられないか」。半信半疑で取り組んだ球種は、日米通算313セーブを記録する最大の武器となった。
当時のことを思い返すと、真っ先に思い浮かぶのはつらい時や苦しい時ばかり。それでも「野村監督の素晴らしい野球を、何とか古田さんと一緒にいい答えが出せないかと取り組んできました」と言う。前を向く理由だった二人の存在に、感謝の思いは尽きない。
野球熱の高い広島で生まれ育ち、カープに憧れた人生が道を切り開いた。目立つ存在ではなかったという学生時代。それでも「プロ野球選手になりたい一心で頑張ってきた」と強い気持ち一つで、努力を惜しまなかった。 広島工、亜大と厳しい7年間がこじ開けたプロへの扉がある。「一度も高校、大学とエースになることはできなかったけど、見て評価して、スカウトしてくれて、そこに野村監督がいてとつながった」と走ってきた道に、輝く光が差した。
栄誉ある殿堂入りに、少しだけ胸を張る。現役監督の殿堂入りは18年度の金本知憲氏以来8人目で、大リーグ経験者としては5人目。古田氏は高津監督のことを「野球界の旅人」だと表現した。現役としての居場所を探し続け、日米だけではなく、台湾、韓国、独立リーグも経験した苦労人。次なるステージへ、高津監督は再び歩き出す。