DeNA・育成ドラ3大橋武尊 超異色!米国「IMGアカデミー」出身初のNPB入り
デイリースポーツの番記者がピックアップした「イチ推しルーキーズ2022」。第1回は異色の経歴を持ち、2021年度育成ドラフト3位でDeNAから指名を受けた大橋武尊外野手(20)=BC茨城=を取り上げる。高校時代に甲子園を目指さずに渡米。独立リーグを経て、米国「IMGアカデミー」出身者として初のNPB入りを果たした、快足自慢の男に迫る。
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東京都港区で産声を上げ、六本木、品川、勝どきと東京の中心部で育った大橋。中央区立銀座中学出身で、高校は海を渡り、米フロリダ州の「IMGアカデミー」に通った。その後は独立リーグを経て、DeNAに入団。目指すは世界一の選手だ。
「小さい頃からよく見ていたのはイチロー選手です。超えられるような選手とはおこがましいですが、人としてもプレーヤーとしても尊敬される選手になりたい。『誰が世界ナンバーワンか』と聞かれたときに、口をそろえて自分の名前を言ってもらえるような選手になるのが目標です」
自分で未来を考え、それを尊重してもらえる家庭で育った。小学1年から「月島ライオンズ」で野球を始めたが、中学では野球チームに所属せず、個人レッスンなどのトレーニングで体を鍛えた。高校進学時に「何が自分の成長においてベストな選択か」と考え、米国行きを決めた。
「全く英語はできなかった」。入学試験に必要だった、英語でのエッセーを先生の指導を仰ぎながら3000字書き切った。多くのメジャーリーガーを輩出する「IMGアカデミー」で約300人の中、トップチームにまで上り詰めた。
日本では多くの高校球児が甲子園を目指す中、大橋は米国で、陸上の五輪金メダリストを育てたコーチから、足の速さを向上させるための指導を受けた。独立リーグの入団経緯も驚きだった。
父が経営する会社の知人が、DeNAの前監督ラミレス氏と友人で、米国在住時に「自分がNPBでプレーするために何がいいか」と話し、BC茨城を紹介してもらった。ドラフト後にはラミレス氏から「ここからもっと頑張っていきなさい」と激励も受けた。
生粋の都会っ子は、自分の夢をかなえるため、異色の道をたどってきた。山崎や今永、上茶谷と「ドラ1」を担当し、昨季限りで勇退した武居スカウトも「真面目で努力家」と太鼓判を押した。“ハマの神速”と愛称を要望したルーキーは、一日でも早く支配下を目指し、横浜スタジアムのグラウンドを駆け回っていく。
◆IMGアカデミー…米国・フロリダ州にあるスポーツ教育機関。野球をはじめ、バスケットボール、ゴルフ、サッカーなど多岐にわたるアスリートたちが同施設の最新器具でトレーニングを行っている。プロテニスプレーヤー・錦織圭も利用したことでも知られるほか、スポーツ選手だけでなく多くの指導者が世界中から訪れる。
◆大橋 武尊(おおはし・たける)2001年5月16日生まれ、20歳。東京都出身。178センチ、74キロ。左投げ左打ち。外野手。銀座中卒業後、高校には進学せずIMGアカデミー、BCリーグ茨城を経て21年度育成ドラフト3位でDeNA入団。俊足好守が魅力。