オリックスの宮内義彦オーナー（８６）が２１日、大阪市内で会見し、今シーズン限りでオーナー職を退くことを発表した。後任にはオリックスグループ代表の井上亮（まこと）グループＣＥＯ（６９）が就任する予定。会見では阪神との日本シリーズを熱望し、選手に日本一の胴上げをしてもらうよう熱望した。

　希代の野球好きオーナーは、退任発表会見でも顔を紅潮させチーム愛を語り続けた。シーズン終了後ではなく春季キャンプ直前の発表。ここに“世界一のオリックスファン”としての意図があった。

　「個人的願望としましては、宮内オーナーが今シーズンでしまいになる、何が何でも日本一になって胴上げを！と思ってくれないかなと。シーズンが始まる前に思ったわけです」と選手たちへ発奮の願いを込めたのだ。

　１９８８年にオーナー職に就いてから３３年。「気がついてみますとオーナー会議で私が最高齢」と年齢を理由に、退任のタイミングを練っていたという。意志を固めたのはこの年末年始。「次の世代に渡したいと、ここ数年考えていた。ただ最下位チームのオーナーがやめるとは、こんな面白くないことはない。優勝がいいなと」と、昨年の２５年ぶりリーグ優勝で区切りをつけたと説明した。

　それでも「オーナーという名前のほかに熱烈なファンという名前がある」と断言。「これまで以上に時間が取れるので球場に来たい」と球場に足しげく通うことを約束した。

　オリックスからメジャーへ羽ばたき、現役引退後も高校生への指導を続けるイチロー氏（４８）についても「世界的な選手になって、個人的には義理堅い人物。野球少年が一芸を極めることで、人を育てると感じた。まだ若いし、色んなところで活躍してもらいたい」とエールを送った。

　関西に根ざすチームとして、阪神にもハッパをかけた。「今は関西にセ・パ２球団。もう一つのチームにも頑張っていただき、日本シリーズをやりたいと大口をたたいて…強く要請させていただきたい」と頂上決戦を熱望し、野球少年のような笑顔をみせた。

　◆宮内　義彦（みやうち・よしひこ）１９３５年９月１３日生まれ、８６歳。神戸市出身。５８年関西学院大商学部卒。商社の日綿実業（現双日）を経て、６４年オリエント・リース（現オリックス）入社。８０年社長、２０００年会長、０３年取締役兼代表執行役会長・グループＣＥＯ、１４年シニア・チェアマン就任。８８年１１月からオリックス球団初代オーナーを務める。