佐々木朗希は“鬼に金棒”佐藤義則氏が分析「田中将や大谷に匹敵」か「超える」可能性

 プロ3年目を迎えたロッテ・佐々木朗希投手(20)がいよいよ覚醒の時を迎えた。5日のオープン戦・ソフトバンク戦(ペイペイ)では自己最速タイとなる163キロを計測するなど160キロ超の球を次々と投げ込んだ。デイリースポーツ評論家の佐藤義則氏(67)が剛速球を生み出す投球フォームを解説。開幕ローテの一角として臨む今季、最多勝などタイトル争いに絡む活躍を予測した。

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 ソフトバンク戦での投球を見させてもらったけど、素晴らしいという言葉しか出てこない。160キロを超える速球を高めだけでなく、低めや左打者の内角にきっちり投げ込むことができていた。そこに加えて140キロを超える高速フォークもあるのだから、攻略するのは至難の業だ。

 入団当初の線の細さも年々解消されてきて、しっかりとプロの体になってきた。昨年までは、バランスとタイミングが合えば160キロが出るという感じだったけど、今年はコンスタントに160キロが出せるようになったのも体が出来上がってきたからだ。軸もしっかりしてコントロールもついてきた。

 投球フォームのバランスがとてもいい。上腕の力で速い球を投げようとするのではなく、体全体を使って投げられている。リリースの時も、しっかりと上からボールをたたけている。球持ちがよく、打者の近くで球離れできているので、しっかりとボールに力が伝わり、手首にかかった時には角度のよい球が低めに決まる。

 欲をいえば、もう少しボールを握りつぶすような感じで投げられれば、抜ける球もなくなっていく。彼は人差し指と中指をくっつけてボールを握るタイプなので、まっすぐに上からたたけた時はいいんだけど、手首の角度がちょっとズレたりするとシュート回転してしまう。ただ、それでも160キロは出ているので、少々甘く入ったとしても、そう簡単に打たれることはないと思うけどね。

 ある意味、スピードボールを投げられるというのは天性のものである。教えられたからといって、だれでもマネできるものではない。佐々木の場合はこの天性に恵まれ、さらに本人の努力で磨きをかけていった結果、あのスピードが出るようになった。現在の最速は、前回のソフトバンク戦でもマークした163キロ。このスピードが現時点でのベストピッチじゃないかな。170キロを出すくらいのつもりで投げれば、もっと速く腕も振れるとは思うけど、それでは長いイニングは投げられないからね。それよりもコンスタントに160キロを投げようという投球している。年齢的にもまだ若く、伸びしろも十分にある。今後鍛えていけば、さらにあと数キロは最速を更新していけるだろう。

 昨季は中10日とか登板間隔を空けていたけど、今年は開幕から中6日で登板する方針だという。あれだけの球があるのだから、普通に投げれば2ケタ勝つのは当たり前。連打を食らったり、四球で自滅するといったイメージもないので15勝以上はいけると思うし、当然、最多勝などタイトル争いにも絡んでくるんじゃないかな。

 今後、どれだけすごい投手になっていくのか正直、想像がつかない。間違いなく日本のエースにはなれる投手だ。日本を代表する投手といえば、大谷(エンゼルス)がいる。大谷はどちらかというと腕力を使って投げるタイプだけど、佐々木はさっきも言ったようにバランスの良い投げ方でスピードを出すタイプで、こちらの方のほうがコントールはつきやすい。田中将(楽天)は佐々木同様、バランスの取れたフォームでコントロールが良い投手だけど、全盛期の時でも佐々木ほどのスピードボールは投げられなかったからね。

 投手というのはバランス良く投げることが一番大事で、それがコントロールの良さにもつながっていく。佐々木はコントロールがいい上に、あれだけのスピードも出るのだから、まさに“鬼に金棒”といえる。将来的にはメジャーという話も出てくるとは思うけど、田中将や大谷に匹敵、もしくはそれを超える投手になっていく可能性は十分にある。彼がどのような進化を遂げ、どんな素晴らしい投手になっていくのか楽しみしかない。

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