巨人戦力外→DeNAで引退→選手分析で奮闘 中井大介アナリスト「まだまだ成長できる仕事」

 現役時代に注目を浴び、今も球界で奮闘を続ける元選手を紹介する「裏方はスゴ腕」。今回は昨年限りで現役を引退し、今季から1軍ゲームアナリストを務めるDeNAの中井大介さん(32)。巨人とDeNAで14年間プレーした経験を糧に、新たな職場で選手をサポートしている。

  ◇  ◇

 巨人とDeNA。2球団のDNAを宿し、今季からDeNAの1軍ゲームアナリストに就いた中井さん。アナリストとは、球界では一般的に他球団の選手を分析するスコアラーと呼ばれる仕事だ。

 「チームの力に直でなれる。『選手、チームに近い立ち位置っていいな』というのもありましたけど、今までと違う野球の見え方、自分がまた野球人としてまだまだ成長できる仕事なのかな」

 球団から打診を受けてからは多くの人に相談した。「どの仕事をしても大変は大変」。「(アナリストは)すごく新鮮」。さまざまな意見に耳を傾け、自分で決断した。

 1年目は担当球団を持たず、チームに付く。引退後初めてとなったキャンプは宜野湾の1軍に帯同。「みんなが練習している中、練習をしていない」。ユニホームを着ず、外から野球を見る日々に少し違和感があるようだが、練習のサポートや映像を基に分析作業などを進めた。対外試合が始まってからは忙しさが増してきた。

 高校時代は宇治山田商3年の07年夏に甲子園出場。投手を主戦場にしていた。だが、仙台育英・佐藤由規(元ヤクルトなど)の球を見て、「次元の違う球だった」と野手で勝負する決意を固めた。

 巨人入団後初となる08年の春季キャンプでは「衝撃を受けたのが練習量」。しっかり準備して挑んだが、初日の時点で「手(の皮)がべろべろになって、シャンプーができなかった」と回想。1年目のオフには高橋由伸氏に弟子入りし、そこでも練習量に度肝を抜かれた。ただ、必死に野球と向き合ってきた。

 巨人では11年間で一度も規定打席到達はなかったが、平成生まれ初の本塁打、83代4番、球団通算1万号などファンの記憶に刻まれる活躍を見せた。

 18年に巨人を戦力外になり、19年からDeNAに移籍。三原球団代表からの言葉を胸に刻んだ。「もちろん戦力としても考えている。でもジャイアンツで10年以上やった経験を何かチームに与えてほしい」。新天地では今まで以上にチームのことを考えてプレーしてきた。

 引退試合となった21年10月20日・巨人戦。プロ初出場を果たした横浜スタジアムで、古巣を相手に強烈な右前打を放ち、大きな大喝采を浴びながら涙を流した。

 苦楽を味わった現役生活。「14年できたのはすごく長くできた方じゃないかな」。今年からは心機一転、勉強を重ねてチームを勝利へ導く道を探る。

 外から野球を研究する立場となった今、ブレーク候補を聞くと「みんな活躍してほしいから、特定の選手は決められない。強いて言えば僕がブレークした方がいいのかな、チーム内で(笑)」と笑った。

 この言葉に込められた思いは、一人でも多くの選手が活躍することを願っているから。現役時代の経験を生かし、全力でサポートしていく。(デイリースポーツ・中田匡峻)

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