京都国際・小牧監督「軽々しく夏に向けて頑張ろうとは言えない」出場辞退決断の内幕明かす
「選抜高校野球」(18日、甲子園球場)
第94回選抜高校野球大会の大会本部は18日、新型コロナウイルスの集団感染で17日に出場辞退した京都国際の小牧憲継監督(38)の談話を発表した。開幕を目前に控えての決断に「子どもたちが本当に頑張ってきた姿を見てきたので、心苦しかった」と胸の内を明かした。また、この日行われる予定だった開会式と1回戦3試合は天候不良のため中止となり19日に順延された。初日から順延になったのは、1992年の第64回大会以来30年ぶり。
17日18時半からの大会本部の記者会見を待ち、まずキャプテンの辻井(心・捕手)と副キャプテンの森下(瑠大・投手)に一人ずつ出場辞退について話をした。この春に全てをかけてきたというか、何が何でも優勝と頑張ってきた。辻井は複雑な顔をしていたが、『キャプテンなんやから、みんなを夏に向けて奮い立たせてほしい』と伝えたら、納得はしてくれた。森下は初め『えっ』と驚いた表情を見せたが、話しているうちに納得してくれた。彼は『去年より大きく成長した姿をみせられる』と、そういうのをエネルギーに変えられる子ですから、とても楽しみにしてきたと思う。だが、すぐに『夏に向けて頑張りたい』と切り替えてくれた。
他の選手にも宿舎のホテルで、陰性の子だけを集めて伝えた。『あまりにも新型コロナ陽性者が多いということで、申し訳ないが辞退することにした』と。本当は対面も良くないのかもしれませんが、距離を取って伝えた。みんなあまりピンときていないというか、あぜんとしているという表情。『えっ』というような。下級生中心にうまくのみ込めていないようだった。陽性の子にはその後電話で伝えた。
子どもたちが本当に頑張ってきた姿を見てきたので、心苦しかった。子どもたちになんて伝えたらいいんだろうと。野球をさせてもらえるのが当たり前ではないと気付かされた。みんなを集めてミーティングもできないですからね。寮の消毒の関係でみんないったん自宅に戻すことになりました。きょう(18日)京都に戻り、(対戦校の)長崎日大と(代わりに出場する)近江の監督に謝罪しました。『ご迷惑をおかけしました』と。
本気で日本一を目指して頑張ってきたので残念。ただ、軽々しく夏に向けてがんばろうとは言えない。全てこの春勝ちきるためにやってきた。そんな簡単に切り替えられないですよね。ただ、現実は受け止めなければならない。ここからは子どもたち一人一人のケアが大事だと思っている。電話などでしっかり連絡したい。それと、高野連の方々が最後まで再検査を提案してくれたり、何とか出させてあげようと最後まで調整してくれたりした。本当に感謝したい。(選手たちに伝えたいことは?の問いに)
そんなすぐに気持ちを切り替えなくていいということですね。ただ、矛盾するようですが、夏に向けてすぐに走り出さなければならない。どこかのタイミングで、『もう一度日本一を目指し甲子園への切符をとろう』と伝えたい。まずはしっかり療養してほしい。