イチロー先生やりました!国学院久我山が春イチ勝 “直伝ポーズ”で斎藤がダメ押し打
「選抜高校野球・1回戦、国学院久我山4-2有田工」(22日、甲子園球場)
昨年11月末に米大リーグ・マリナーズなどで活躍したイチロー氏に指導を受けた国学院久我山(東京)が、センバツ初勝利を手にした。プロ注目の斎藤誠賢外野手(3年)は直伝のルーティンを完コピして打席に立ち、六回にダメ押しの左前適時打。偉大なレジェンドに指導を受け、昨夏の甲子園で優勝した智弁和歌山の快進撃を再現すべく、この1勝で勢いに乗っていく。
歴史を塗り替える1勝だ。昨年11月末に野球界のレジェンド・イチロー氏から受けた指導を生かし、4度目のセンバツで初白星。尾崎直輝監督は「一つ一つの判断力とか、イチローさんのメッセージを生かせているように試合を運べた。ようやく春の甲子園で1勝できましたと伝えたい」と頬を緩めた。
象徴的だったのは六回2死二塁の場面。好機で左打席に立った1番・斎藤はバットを持った右腕を投手側に出し、左手で袖をめくる、イチロー氏おなじみのルーティンで投手と向かい合った。「あのポーズをしたら外(逆方向)に打つという意識を強く持てるので」。3ボールから左前適時打を放ち、ダメ押しの追加点を奪った。
指導に訪れた際、独特のルーティンについて質問したという斎藤。バットを前に掲げることで「左中間側の世界を見て、ライト側の世界は見ないようにしている」と教えてもらい、自身も取り入れるようになった。この日はアウトコースを攻められていたこともあり対策は的中。「イチローさんの教えがあって取れたタイムリー。今、とても感謝しています」と笑顔を見せた。
試合前には尾崎監督の元にイチロー氏から「試合は見ていますよ」とメッセージが届いたという。指導に訪れた際に渡されたバットはセキュリティーの問題で聖地には持ってきていないが、「イチローさんの思いは甲子園には持ってきました」と全員で体現した。
昨夏の甲子園ではイチロー氏に指導を受けた智弁和歌山が優勝した。国学院久我山もこのセンバツ初勝利を弾みに、「躍動している姿を1試合でも多くイチローさんに見ていただけるように頑張っていきたい」と尾崎監督。イチローイズムを胸に、久我山旋風を巻き起こす。
◆斎藤誠賢(さいとう・せいけん)2004年4月5日生まれ、17歳。千葉県富里市出身。右投げ左打ち。外野手。177センチ、73キロ。3歳から野球を始め、日吉台小時代は富里ラディソンエンゼルスなどでプレー。富里北中では京葉ボーイズで3年時に全国大会優勝を経験した。国学院久我山では1年秋からベンチ入り。50メートル走5秒75、遠投85メートル。
◆イチロー氏の国学院久我山指導VTR 昨年1月に部員が送った「野球がうまくなりたい」という手紙に心を打たれたイチロー氏が、同年11月29日に同校を訪問。主に走塁面で教えを乞い、基本的な走り方からリードの取り方、一塁から三塁までの走塁方法などを伝授された。打撃ではティー打撃やフリー打撃をイチロー氏自ら実践。守備や精神面についても指導した。選手、監督からも積極的に質問するなど、貴重な時間を過ごした。