鳴門・藤中 甲子園を“失った”兄、思いを背負った弟

 「選抜高校野球・1回戦、大阪桐蔭3-1鳴門」(24日、甲子園球場)

 兄の思いも背負った初めての甲子園を、藤中温人内野手(3年)は「一瞬でした」と振り返った。

 甲子園が中止になった20年夏。鳴門のエースとして県の独自大会を制し、優勝投手となった兄・壮太の姿を、スタンドから見つめていた。優勝の先に甲子園はない。2年夏に出場経験はあったが、それも関係ない。兄は勝って泣いていた。「甲子園、行きたかったな」とつぶやく兄の姿が心に残っている。

 センバツ直前、兄から純白の打撃用グローブを贈られた。白い糸で施された刺しゅうは「一勝懸命」。昔から兄が好きだった言葉だ。勝ちにこだわる兄の思いが込められたグローブは、この日のためのとっておきだった。

 初の甲子園は悔しさばかりが残った。四回の好機で凡退するなど4打数無安打。守備でも八回に失点につながる失策を犯した。「一勝」をつかむことはできなかったが、これで終わりではない。藤中は「課題がたくさん見つかった。夏までにクリアして、もう一度戻ってきたい」と、心を奮い立たせた。

 ◆藤中 温人(ふじなか・はると) 2004年12月2日生まれ、17歳、徳島県出身。170センチ、83キロ、右投げ右打ち、内野手。小1で足代スポーツ少年団(軟式)で野球を始め、高松リトルシニア、徳島東リトルシニアでプレー。鳴門では1年秋から一塁レギュラー。

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