ソフトバンク・藤井が4年ぶり勝利「初勝利のよう」広島退団、独立リーグ経て再起

 お立ち台で移籍後初勝利のウイニングボールを手に笑顔を見せる藤井(左)と栗原(撮影・高石航平)
 1回、2ランを放つ栗原(撮影・高石航平)
 開幕カード3連勝をあげ、ナインをタッチで迎える藤本監督(左から2人目)=撮影・高石航平
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 「ソフトバンク6-4日本ハム」(27日、ペイペイドーム)

 独立リーグを経てソフトバンク入りした藤井皓哉投手が4年ぶりの勝利投手となった。広島時代の18年6月6日の対日本ハム以来となるプロ2勝目を手にした。

 チームの絶体絶命の場面を救う快投だった。五回表だ。先発の杉山が万波に同点2ランを浴び、さらに四球を与えて降板。続く2番手の椎野はけん制悪送球から12球連続ボールとさらに大荒れ。杉山、椎野で4者連続四球を与えて押し出しの1点を献上して、3-4と勝ち越された直後に、藤井は3番手としてマウンドに送られた。

 「昨日、不甲斐ない投球をした。その分やってやろうと思った」。前日26日の試合で移籍後初登板を果たすも、清宮にソロを浴び、さらに走者を溜めて降板。リリーフした森が好投してチームは何とか逃げ切っていた。

 「今日は自分がチームを助けたいと思った。昨日は変化球、変化球の投球をしてしまったが、自分は真っ直ぐがあっての変化球。その反省を生かした」

 1死満塁から日本ハム5番・ヌニエスに真っ向勝負で挑んだ。初球のボールはスライダーだったが、そこからストライクゾーンへすべて直球を投げ込んだ。最後は151キロで見逃し三振。続く佐藤も150キロ直球で三ゴロに打ち取った。

 次の回も続投して三者凡退。1回2/3を完全に抑えて3三振も奪った。

 勝利投手となりお立ち台へ。「4年も空いたので初勝利のような感じです」とはにかんだ。その後の記者の囲み取材では、これまでの道程について話している最中、目が潤んだように見えた。

 「自分の想像をはるかに越える早さで状況が変わっている」。20年オフに広島を戦力外となり、昨年は四国ILの高知でプレー。12月にソフトバンクと育成契約しNPB復帰。今年開幕直前の3月22日に支配下登録をされ、そのまま開幕一軍を勝ちとった。

 「今の僕に目標設定はない。まずは一軍で一年間投げること。広島ではそれが出来なかった。目標設定はせずに目の前の1試合1試合を全力で。その積み重ねが数字に表れると思っています」

 マウンドでは気迫を前面に押し出すが、普段は控えめな好青年。支配下登録の会見では「ここがゴールではなくスタート」と語っていた。3連勝のチームと共に開幕猛ダッシュを決めた背番号48の右腕は、今シーズンを力強く駆け抜けていく。

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