ロッテ佐々木朗希 記録尽くめ最年少完全試合 “世界新”13連続K、最多タイ19Kも
「ロッテ6-0オリックス」(10日、ZOZOマリンスタジアム)
ロッテの佐々木朗希投手(20)が10日、オリックス(3)戦(ZOZOマリン)で史上16人目、16度目の完全試合を最年少20歳5カ月で達成した。完全試合は94年の巨人・槙原寛己以来28年ぶり。13者連続奪三振の日本記録も樹立した。米大リーグの連続奪三振記録は10で、それも上回った。19三振を奪い、95年にオリックス・野田浩司がマークした1試合最多記録にも並んだ。自己最速タイ164キロの直球とフォークを駆使し、プロ初完投初完封で今季2勝目。歴史的な快投にスタンドも総立ちとなった。3年目を迎えた「令和の怪物」の進化が止まらない。
すごすぎる。令和の怪物が球史に名を刻んだ。大記録目前の九回2死。スタンドがざわつく中、冷静にフォークを投じ、27人目の打者である代打・杉本を空振り三振に仕留めた。史上最年少20歳5カ月での完全試合達成。佐々木朗は両手を広げ、グラブをパチンとたたいた。快挙を見届けたスタンドのファンも拍手喝采の嵐だ。
「正直(記録は)あまり意識はしてなくて打たれたらそれでいいかなと。実感はないんですけど、すごくたくさんの選手におめでとうと言ってもらえたのはうれしかった」。淡々と話す姿はこれまでと変わらない。
無欲で臨んだことで持ち味を発揮できた。打者を抑えることのみに集中し、初回2死から奪三振ショーが幕を開けた。三振を取るごとに大歓声を受ける。四回2死で迎えた吉田正をフォークで仕留めて10者連続の新記録とし、さらに五回も3者三振で記録を伸ばした。毎回の19奪三振で、95年にオリックス・野田がマリンスタジアムで記録した1試合最多タイ記録にも並んだ。風の影響を受け、直球も変化球もキレキレ。自己最速に並ぶ164キロもマークするなど記録ずくめの105球だった。
直球は高校時代から160キロを超えていたが、プロ3年目の進化には変化球の精度の目覚ましい向上がある。昨季パ規定打席者最少三振数の吉田正からこの日3三振を奪った。四回は今季から本格的に投げ始めたカーブを2球投じて追い込み、最後はフォークで空振り三振。木村投手コーチは「勇気を持ってチャレンジしていた」とキャンプで投げ込んだカーブ、フォークを絶賛。抜群に決まるから直球もより生きる。
球威、変化球の切れの精度の高まりは胸郭を強くする開大トレーニングの成果でもある。昨年以上にウエートに取り組み、大胸筋がさらに発達した。
今季はいずれも日曜日に登板して2勝。“サンデー朗希”で子ども連れの多いスタンドを沸かせた。「(記録は)達成したいって思ってなかった。1年間投げ続けられる投手になりたい。この1試合に終わらず、いいピッチングを長くできるようにしたい」。令和の怪物はさらなるファンの魅了を誓う。伝説はまだ始まったばかりだ。
◆佐々木 朗希(ささき・ろうき)2001年11月3日生まれ、20歳。岩手県出身。190センチ、85キロ。右投げ右打ち。投手。背番号17。小3から野球を始める。11年の東日本大震災で被災し、陸前高田市から大船渡市に移住。大船渡一中では軟式野球部に所属。大船渡高から19年度ドラフト1位でロッテ入団。プロ2年目の21年5月16日・西武戦(ゾゾ)で初登板初先発。同27日・阪神戦(甲子園)で初勝利。好きなアーティストは、あいみょん。