天国へ「活躍する姿を」 佐々木朗希、震災の逆境乗り越え
史上最年少で完全試合の快挙を達成したロッテの佐々木朗希投手(20)をマウンドに駆り立ててきた原動力が、東日本大震災で亡くした家族への強い思いだ。岩手県陸前高田市生まれ。11年前の津波で、父と祖父母が犠牲となった。天国で見守ってくれている親族へ「活躍する姿を見せることが一番の恩返し」という秘めた決意は、月日が流れても変わらない。
兄の影響を受けて野球を始め、父功太さん(当時37歳)はキャッチボールに付き合ってくれた。被災当時は小学3年。家が流され、同県大船渡市への移住を余儀なくされた。学校のグラウンドには仮設住宅が建ち、河川敷などの空き地で練習した。「改めて当たり前がどれだけすごいことなのかを感じた。その経験が自分に生きている」。逆境を乗り越え、強い心が育まれた。
同県立の大船渡高に進み、エースとして活躍。3年時の2019年4月には球速163キロをマークし「令和の怪物」と騒がれた。「(野球に)夢中になれる時間があったおかげで、大変だった時、つらい時も頑張れた」と話したことがある。同年のドラフト会議で4球団の1位指名を受け、翌年にロッテに入団した。
震災から10年の節目となった昨年3月11日には「(震災当時は)たくさんの人から支えられ、頑張ることしかできなかった。今はその時とは違って、勇気や希望を与える立場にある」と覚悟を語っていた。