ロッテ・佐々木朗 2戦連続の完全試合目前で降板 大偉業は幻も新たな伝説へ
「ロッテ0-1日本ハム」(17日、ZOZOマリンスタジアム)
ロッテの佐々木朗希投手(20)が17日の日本ハム戦(ZOZOマリン)で、8回14奪三振で1人の走者も許さない完全投球を見せた。10日のオリックス戦に続き、史上初となる2試合連続の完全試合という機運も高まったが、102球に達し、九回はマウンドに上がらなかった。それでも、日本記録更新となる17イニング連続無安打や、3日・西武戦の八回2死から、メジャー記録超えの“52人連続アウト”も記録するなど、令和の怪物の伝説はまだまだ続く。
偉業まであと3人も、記録はどうでもよかった。8回完全も勝ち星はつかず。2試合続けて完璧な仕事をやりきった。降板を告げられると、佐々木朗は心地よい疲労感の中、ベンチにゆっくりと座った。スタッフとうっすら笑みを浮かべてグータッチした。
「前回よりもコントロール、球質がよくなかった。試合中にも木村さん(投手コーチ)と話をしましたし、納得する形でマウンドを降りました。満員の中で投げるのは初めてだったんですけど、すごくうれしかった」
10日の完全試合達成から中6日。チケットが完売し、初めて満員のスタジアムで投げ、アウトを取る度に拍手が起こった。期待に応え、胸を張った。
歴史的快挙は続いた。令和の怪物らしさを初回から発揮。二回までに4三振を奪い日本人最長タイの25イニング連続三振をマーク。三回に途切れたが、四回から奪三振ショーを再開だ。最速163キロの直球にフォークで寄せ付けない。八回には最後のギアを上げ、2死から野村をこの日最速の163キロで見逃し三振を奪い、“52人連続アウト”となった。
九回も抑えられたかもしれないが、シーズントータルを優先。井口監督は「七回にちょっとへばりつつあった」と兆候を見逃さず、この時点で決断。これまで100球前後で代えてきたように、八回での降板を決めた。
「素晴らしい投球で、できれば我々も最後まで見たかった。ファンの方も見たかったと思いますけど、先々考えるとちょっとあそこで限界だった」と指揮官。次回も中6日で24日・オリックス戦で先発させる。1年間、ローテで回すことが大前提だからこそ、泣く泣く決断した。
完全試合後の先発勝利を挙げた投手は4人しかいないデータも「全く知らなかった。僕にとっては打たれても別にって思ってますから」と淡々と語った。満員だったスタンドについては「最初、幕張メッセと勘違いしているんじゃないかと思いました。すごく選手としてうれしい」。圧倒するボールに、ジョークを交えて振り返る余裕があるからこそ、突き抜けた結果を残せる。
◆“完全”途中降板 2007年11月1日、日本シリーズ第5戦で中日・山井が日本ハム戦(ナゴヤドーム)で8回をパーフェクトに封じ、岩瀬とのリレーで日本シリーズ初の完全試合を達成。西武・西口は05年8月27日、楽天戦で九回まで完全を続けたが、打線の援護なく0-0で延長戦へ。十回、先頭打者に安打を許した。延長戦で完全試合を逃したのは初。その裏にチームはサヨナラ勝ちし、西口は10回1安打1四球で完封。