初代ミスタータイガースの母校・呉港の田中が高校通算34号 プロ出身監督が育成中
「練習試合、育英5-5呉港」(8日、育英グラウンド)
初代ミスタータイガース・藤村富美男氏(故人)の母校に左打ちのスラッガーがいた。呉港の4番・田中多聞外野手(3年)が、高校通算34号の特大本塁打を放った。
安芸の大砲は同点の八回、左腕から右中間の巨大ネット中段に突き刺さる勝ち越しの一発を放った、両親も応援に駆けつける中で「狙っていました」と関西遠征最終日に“有終の美”を飾った。
大阪・八尾市出身。183センチ、83キロの恵まれた体で新チーム結成後に投打の柱と期待された。しかし、投手として結果が出なかった左腕は外野手に専念。昨秋の公式戦で敗れたのをきっかけに、寮生活の中で毎朝6時から1時間で1000スイングをノルマにバットを振ってきた。
セールスポイントに「当たったときの飛距離と足」と言い、「大谷選手や柳田選手のようになりたい」と目を輝かせた。
この日はDeNA・進藤達哉編成部部長、河原隆一スカウティングディレクターがスラッガーの姿を追った。進藤部長は「いいパワーをしているし、足も速い」と高評価を付けた。
広島には今春の選抜大会にも出場した広陵にプロ注目の内海優太外野手(3年)と真鍋慧内野手(2年)の左の大砲がいる。田中を指導する片岡新之介監督は「2人のように全国区ではないけど、高い身体能力を持っている。まだまだ伸びる」と言う。片岡監督は阪神、阪急(現オリックス)などで強打の捕手として活躍し、広島で長年バッテリーコーチを務めてきた。元プロとしての眼力に狂いはない。
すでにプロ11球団のスカウトが視察に訪れている。春の広島大会では準決勝で崇徳に敗れ、優勝した広陵と対戦することがなかった。田中は「内海や真鍋とタイプは同じ。彼らは活躍しているので、僕も負けないように頑張りたい」と成長を誓った。