死球での誹謗中傷に評論家が見解「投手にとっても痛い」巨人・吉川の負傷離脱で波紋
巨人・吉川尚輝内野手が4日に行われた広島戦で肩甲骨に死球を当て担架で搬送され負傷交代。ネットでは当ててしまった広島のドラフト1位・黒原拓未投手に対して誹謗中傷とも言える批判の声が高まり、黒原のSNSにも様々なコメントが殺到した。
デイリースポーツ野球評論家の関本四十四氏は「好調の選手であり、吉川はこれまでもけがに泣かされてきた選手。今年は状態が良く、より期待感が高まっていたからこそ、波紋が広がったんだろうな」。吉川は開幕から1番打者としてチームをけん引し、打率・341とチームトップ。6日には「肩甲骨の骨挫傷」で登録抹消となった。
巨人OBでもある関本氏は吉川の離脱を「残念だし、チームにとっても痛い」としながら、投手目線で黒原を擁護した。「絶好調の選手はインハイ、アウトローを幅広く攻めるのは鉄則。今年の巨人なら岡本、吉川のような打者には当然、甘くいけない。ちょっと狂ってしまったら、当たってしまう」と振り返った。
かつてのプロ野球、メジャーでは今も“報復”とみられる死球はあるが、「黒原はしゃかりきに腕を振るタイプで、あの一球は未熟さからきたもの。見ていれば故意でないなんてことは分かる。多くの投手はけがなんかさせたくない。それに、走者を出す訳だから投手にとっても痛いんだ」と投手の気持ちを代弁。「あの堀内(恒夫)さんだって、高木守道さんの頭に当ててしまい、『もう当てられない』と口にしていたのに次の対戦で当ててしまったんだから。緊張して手元が狂うことはどうしてもあることなんだ」と語った。
近年、アスリートの誹謗中傷が問題視されているが、プロ野球の世界も例外ではない。昨オフは中日・福がSNS上で中傷や殺害予告を受けたことが話題となった。関本氏は「打たれた時、相手に死球を当てた時、昔も客席から罵声を浴びることなんてのはよくあったけど、今は選手がそういうもの(SNS)を持っているから余計標的になるわな」とした。
不調の黒原は翌5日に登録抹消となった。プロ野球では死球を当てた投手が萎縮してしまい、投球フォームのバランスを崩すケースは少なくない。いち野球人として、関本氏は「黒原に言いたいのは、野球に死球はつきもので、気にすることはない。死球を当てたことのないピッチャーなんていない」と、メッセージを送った。