日本ハム・宮西 通算800試合登板の偉業 新庄BボスはNPB記録の“岩瀬超え”指令
「日本ハム4-0西武」(21日、札幌ドーム)
日本ハムの宮西尚生投手(36)が4点リードの九回に登板。最後は渾身の143キロの直球で山川を力のない二飛に打ち取り三者凡退で退けた。完封リレーを完成させてマウンドでチームメートとともに笑顔の花が咲く。史上8人目、現役最多の通算800試合登板の偉業を達成した。
「札幌ドームで記録達成。何回かありますけどそう簡単にとれるものじゃない。しっかりきょうの景色を眺めたい」。ヒーローインタビューで、祝福するファンを見渡した。
順風満帆に積みかさねた800試合ではなかった。昨季は14年連続の50試合登板を果たしたが、防御率3・65はルーキーイヤーを除くとワーストの数字。「去年は栗山監督の思いもあったし、まあ親心で50まで何とか投げさせてもらえた」と振り返る。
今季序盤も「イライラして眠れなかった」というほど精彩を欠いた。4月3日のオリックス戦で同点の八回に2失点して敗戦投手になった。同21日の楽天戦では1点ビハインドの七回に登板。2点を失い1イニング投げきれず降板していた。
不振の原因を探った。「2回目の手術をやったのが、尾を引いているというか。肘をかばう状態でここ数年は投げていた。知らないうちに足が使えていなかった」。18年11月に2度目の左肘手術を受けていた。その影響で少しずつ、従来のフォームを失っていたことに気付いた。
左足首を意識して、軸足に体重をしっかり乗せる。従来のゆったりとしたフォームを取り戻す作業。「軸に乗ってるから壁がしっかりできる。で、右手がしっかり使える」。その効果を「ボールも強くなったし、スライダーが一番良くなってきた」と言う。直球、スライダー。思い通りに操る術を取り戻して、偉業達成の日を迎えた。
試合後は新庄ビッグボスから祝福を受けたという。「乾杯のときに、岩瀬さんの記録があるから、そこまで投げろと。目指して頑張れと」。岩瀬のNPB記録1002試合を目標設定されて「笑いしか出なかったです」と明かす。「その記録に一歩ずつ近づくにつれて遠く感じるすごい記録だとすごく感じる」と鉄人だからこそ知る数字の重みがある。
「1試合1試合の積み重ねだと思うので、次の試合をしっかり抑えて。気付いたら900いけてたらと思いますね」。一歩ずつ歩んで、また次の偉業にたどり着く。