中日・根尾150キロ 1軍でも“二刀流” 立浪監督が今後の起用示唆「あるかもしれない」
「広島10-1中日」(21日、マツダスタジアム)
西日で照らされたマウンドで中日・根尾昂内野手(22)が力強く右腕を振った。1軍での投手デビュー。八回の1イニングを1安打無失点に抑えた。プロ4年目で新たな一歩を踏み出し「素直に抑えられてうれしいです」とコメントした。
2戦連続ベンチスタートで戦況を見つめる中、立浪監督から声を掛けられた。「四回裏が終わって、監督から(登板について)言われました。どんどんストライクを取っていこうと思いました」。六回から肩をつくり始め、八回に出番がやってきた。「Neo 7」と刻まれた真新しい投手用の赤いグラブを着け、一礼してマウンドに向かった。
先頭の坂倉への初球は、いきなりこの日最速となる150キロ。2球目を右前に運ばれたが慌てない。次に迎えたのは、大阪桐蔭3年時、U18日本代表のチームメートだった報徳学園出身の小園。オール直球で右飛に仕留めた。「相手がというより、アウトが取れて良かったです」。勢いに乗って磯村、中村健も打ち取った。九回には打席にも立ったが、一塁ゴロに倒れた。
大阪桐蔭では17、18年のセンバツ優勝投手。すでに2軍ではプロのマウンドは経験済みで、8日のウエスタン・リーグの阪神戦(甲子園)で九回に登板。2/3イニングで3安打1失点だった。
立浪監督は「何とか根尾を生かしていかないとね」と話した。あくまで本職は再挑戦中の遊撃だが、「簡単に四球を出さない。またこういう展開で投げることはあるかもしれない」と、今後も“二刀流”として起用していくことを示唆した。
◆高校時代の「投手・根尾」 大阪桐蔭時代の根尾は4季連続甲子園出場し3大会で登板。17年春は履正社との決勝で救援、18年春は智弁和歌山との決勝で9回2失点完投で優勝投手。センバツ史上初の2年連続胴上げ投手になった。報徳学園の遊撃手だった小園とは高校時代の公式戦でなかったが、3年夏の甲子園後に招集されたU18アジア選手権代表にそろって選出。根尾は1次リーグ・韓国戦と3位決定戦・中国戦でともに1イニングずつ登板し、中国戦で150キロ。打率も・389をマークした。◆野手登録選手の登坂 巨人・増田大輝内野手が2020年8月6日・阪神戦(甲子園)で登板して以来。過去にはデストラーデ(西武)が95年5月9日・オリックス戦に登板。97年は外野手登録だった嘉勢敏弘(オリックス)が2試合に登板。五十嵐章人はオリックス時代の00年6月3日・近鉄戦に登板し史上2人目の全ポジション出場を達成。ちなみに日本ハム時代の大谷翔平は投手登録。