智弁和歌山が大阪桐蔭撃破 16年ぶり3度目近畿V 中谷監督秘策で1点のリード守り切った
「春季高校野球近畿大会・決勝、智弁和歌山3-2大阪桐蔭」(29日、紀三井寺公園野球場)
近畿大会は決勝が行われ、智弁和歌山が大阪桐蔭との接戦を制し、2006年以来16年ぶり3度目の優勝を飾った。先頭打者本塁打で勢いに乗ると、中谷仁監督(43)が考案した4投手のジグザグ継投策で公式戦無傷の29連勝中だった今春センバツ王者を撃破。一丸野球で栄冠を手にした。
わずか1点のリードを守り抜いた。九回2死二塁、澄み渡った空に高々と上がった打球が左翼手のグラブに収まると、歓喜に沸いた智弁和歌山ナイン。相手が強敵だろうと、チーム一丸となり立ち向かった。夏連覇へ向けて大収穫となる栄光をつかんだ。
初回に主導権を握った。いきなり先頭打者本塁打で先制すると、なおも2死から連打と四球で満塁。敵失で2点を加えて3点のリードを奪った。
ただ相手は、今春センバツで大会史上最多の11本塁打を放ち、今大会も近江との準決勝で16安打11得点と猛打を誇る大阪桐蔭打線。中谷監督は「センバツも見ながら、今のウチの戦力で彼らをどうやって食い止める方法があるだろうかと考えながら日々過ごしていました」と明かす。3月から思案を重ね、導き出したのが力のある投手をリリーフに置くトーナメント主体の高校野球では異例ともいえる継投策だ。
先発の左腕・吉川泰地投手(2年)が3回を2失点に抑えると、四回は右の西野宙投手(3年)、五回は左の橘本直汰投手(3年)が無失点。左右の投手を交互に使うジグザグ継投で、的を絞らせなかった。
その上で六回から、昨夏の甲子園Vメンバーでもあるプロ注目の最速148キロ右腕・武元一輝投手(3年)を投入。「ずっと大阪桐蔭さんを倒すんだと言ってきた。絶対に抑えるという強い気持ちを持って」。その言葉通り、力強い直球を中心に真っ向勝負を挑んだ。4イニングを投げて単打3本で無失点。最少リードを最後まで守り抜いた。
絶対的王者を破っての近畿大会V。それでもセンバツ出場を逃した悔しさはまだ晴れていない。「自分たちを信じてやるべきことをやって、夏連覇につなげていきたい」と武元。先輩らが手にした夏の頂点は今年も、譲らない。