DeNA・今永 球団52年ぶりノーノー達成 復帰から登板日は5戦5勝
「日本ハム0-2DeNA」(7日、札幌ドーム)
DeNAの今永昇太投手(28)が日本ハム1回戦で、史上85人目(通算96度目)のノーヒットノーランを達成した。許した走者は二回2死から清宮に与えた四球のみ。4月に完全試合を達成したロッテ・佐々木朗、5月に無安打無得点試合を達成したソフトバンク・東浜に続き、今季3人目の快挙達成となった。
最後の打者を打ち取って快挙を達成した瞬間も、今永の表情は変わらなかった。ナインがマウンドに集まっても、記念の花束を渡されても。今永の流儀でマウンドをきれいにならしてからナインとタッチ。「本当に達成できてホッとしましたし、まずは勝てて良かったなと思います」とお立ち台でようやく少し表情が和らいだ。
力のこもった117球だった。四球を許した二回2死以降、22人をぴしゃり。八回2死で谷内を二ゴロに打ち取り「球場がワーってなった。ちょっとこれは意識した方がいいな」と、変わりゆく雰囲気を存分に味わった。
そして九回、球威も落とさず淡々と試合を締めくくった。表情が変わらなかったのは「そこまで深い意味はないが、ここは僕たちのホームではないので、あまり大喜びしてもな」と敵地への敬意も含まれていた。
決して平たんな道のりではなかった。今春キャンプは左前腕の肉離れで離脱。復帰してからチームは登板日に5戦5勝。だが、まだ物足りない。欲しいのは絶対的な存在感だ。
今永は理想とする選手の名を挙げた。「阪神の青柳選手は良い例。やっぱりああいう存在にならないとダメ」。敵ではあるが「同級生なので、会うと話す。オールスターでも、色んな話を聞いた。長いイニングを投げるので、僕の憧れの存在です」。尊敬する選手がいるのも、左腕の成長につながっている。
球団では52年ぶりの快挙に三浦監督は「一番目立ったよね。最高の投球をしてくれた」と興奮を隠しきれなかった。
この1試合で終わらない。「こういう投球を期待させることができる、みんなに想像してもらえるような、そんなスケールの大きな投手になりたい」と今永。北の大地で背番号21が歴史に名を刻み、ここから絶対的エースに駆け上がっていく。
◆ノーヒットノーランは球団52年ぶり4人目 球団では大洋時代の70年6月9日・鬼頭洋がヤクルト戦で記録して以来52年ぶり。残りの2投手は、島田源太郎で60年8月11日・阪神とのダブルヘッダー1試合目(川崎)、佐々木吉郎で66年5月1日・広島とのダブルヘッダー2試合目(広島)。
◆今永昇太(いまなが・しょうた)1993年9月1日生まれ、28歳。福岡県出身。178センチ、83キロ。左投げ左打ち。投手。北筑から駒大を経て、15年度ドラフト1位でDeNA入団。16年3月29日・巨人戦(横浜)でプロ初登板。17年に11勝、19年に13勝で2桁勝利をマーク。19年はプレミア12で日本代表に選ばれ世界一に貢献。