巨人 中田翔が球宴ファン投票一塁手部門で首位に セパの“違い”歴然
巨人は、中田翔(33)の球宴ファン投票一塁手部門の途中経過に何を思うか。再び、セ・リーグのDH制度導入議論に乗り出す予感が漂う。
今月27日、「マイナビオールスターゲーム2022」(7月26日・ペイペイ、27日・坊ちゃん)のファン投票が締め切りを迎える。その中で注目を集めているポジションにセ・リーグの一塁手部門がある。今季41試合に出場し打率・215、5本塁打と打撃低調で、6日に出場選手登録を抹消された巨人・中田翔が8日の中間発表で広島・ライアン・マクブルーム(30)を抜き首位に立ち、その後も票を伸ばしている。人気投票の要素もあり、この数字をとやかく言うつもりはない。
だが、セ・リーグもDH部門でのファン投票があればどうなっているだろう。今季は常時一塁手としての出場がない中田翔の票がDHと分かれ、中間発表段階でも首位に立っていない可能性がある。
時間的に余裕があるため今後、二転三転するのは間違いない。だが、現段階で中田翔以外はセ・リーグの一塁手部門の上位5人は中田翔をのぞき、すべて外国人助っ人だ。セ・リーグ各球団は、一塁手は打撃力優先の外国人“専用”のポジションとして考えている証明だろう。一方、パ・リーグは西武・山川穂高(30)ら上位5人はすべて日本人選手が占めているのとは歴然の差だ。
その理由のひとつが、パ・リーグが1975年シーズンから導入しているDH制だろう。守備力に多少難がある助っ人外国人をDHで起用すれば、必然的に攻撃力アップにつながる。球団としても打つだけの選手を探す方が、守備力を伴った選手を探すよりは比較的楽だ。
DH制のメリットは日本シリーズの結果が証明している。シリーズではパ・リーグ主催試合に限ってDH制が採用される。そのため、DH制を採用しての試合運びに一日の長があるパ・リーグに有利に働くと考える球団もある。巨人がまさにそうだ。
2019年のシリーズでソフトバンクに4連敗した巨人・原辰徳監督(63)は「セ・リーグにはDH制がないからね。DH制は使うべきだろう。相当差をつけられている感じがある」と提言したことがあった。翌20年11月18日には、ソフトバンクが、コロナ禍で過密日程になったことから投手の故障リスク軽減を理由とし、NPBに日本シリーズの全試合DH制を提案。巨人はこれを承諾し、翌19日の臨時実行委員会で特例を認め、1985年の阪神-西武のシリーズ以来、35年ぶりの実施となっている。
このシリーズでもソフトバンクに4連敗した巨人は正式に動いた、同年12月のセ・リーグ理事会で山口寿一オーナー(65)が文書で、コロナ禍の中で投手の負担軽減、野手に出場機会を与えるなどの理由を挙げて、21年シーズンの暫定的導入の提案書を提出したのだ。
このときは他の5球団が難色を示し採決には至らなかった。だが、セ・リーグの球宴ファン投票一塁手部門の結果を踏まえ、巨人が再びDH制導入に動き出す可能性はありそうだ。(デイリースポーツ・今野良彦)