馬場敏史氏の眼「ヤクルト1強も波乱を諦めて欲しくない」

 ヤクルトの進撃が際立っている。早くもマジック点灯秒読み段階という、歴史的な勝ちっぷりだ。プロ野球OBで、ヤクルトにも在籍していた馬場敏史氏が、強さを分析しつつ、ここからのセ・リーグの展望を語った。

  ◇   ◇

 それにしても、強いですね。昨年、日本一になって、全球団からマークされる中でこれだけ勝利を重ねられるというのは、力がある証拠です。

 その力の象徴としては、誰の目にも村上ということになるでしょう。29日の広島戦で3試合連発ですか。春先はあまり目立つ活躍がなかったように思いますが、少しずつ調子を上げて、交流戦で全開。それがまだ続いています。

 走者がたまれば「ガツン」とやって大量得点ですから、大勝も増えますし、先日の巨人戦のように11-10で、1点でもいいから相手よりも多く取って試合終了に持っていく、という簡単に負けない試合巧者ぶりもあります。

 得点力という意味では、村上に塩見、山田という中心選手がどっしり構える一方で、若手もどんどん出てきています。これはファームの育て方もしっかりしているということでしょうね。

 ベテラン、中堅、若手。1軍、2軍というチームのバランスが非常にいいのでしょう。

 さらに高津監督も言ってましたが、先発投手が仕事をして、それを引き継ぐリリーフ陣が踏ん張る。ここのバランスも素晴らしい。だから変な逆転負けがない。勝っているゲームをしっかり勝ちきれる強さがありますね。

 死角は見当たりません。それでも、大山の復調に合わせて借金を大きく減らした阪神のように、一つの起爆剤で雰囲気がガラリと変わることもあります。

 梅雨も歴史的な早さで明けました。ここから猛暑との戦いも始まります。投手出身の高津監督ですから、そうしたへばりも配慮するでしょうが、屋外を本拠とするチームには厳しい季節でもあります。

 他球団には決して「3位でいいや」と思って欲しくないですね。ひと波乱、ふた波乱起こす気概で各球団がヤクルトに相対することで、セ・リーグの火をともし続けて欲しいと思っています。

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