選手9人今治南に投手足つる緊急事態 異例の治療53分中断経て再開 コールド負けも最後まで決死プレー
「高校野球愛媛大会・2回戦、松山商10-0今治南」(11日、坊っちゃんスタジアム)
登録選手9人で出場した今治南が、選手治療のために異例ともいえる53分間の中断を挟み、6回コールド負けを喫した。
松山商が6点をリードした六回裏、四球と失策で無死一、三塁となったところで、今治南2番手の小坂来叶内野手(3年)をアクシデントが襲った。2球目を投じた瞬間、足を抱えてマウンドで倒れ込む。最初は右足がつり、だんだんと左足、そして下半身全体に症状が広がっていったという。試合は中断され、小坂は担架に乗せられてベンチ裏へ運ばれた。
倒れた直後は笑顔も見せていた小坂だが、状態はなかなか回復せず。代わりの選手はおらず、出場できなければ試合を棄権せざるえを得ない。意識ははっきりしていたといい、救護班からのマッサージを受けながら、出場を希望し続けた。53分後の再開直前、主将の白石悠捕手(3年)は馬越健治監督(59)へ「小坂に無理はさせられない。やめた方がいいんじゃないですか」と伝えたが、小坂本人がそれを拒否したという。
足を引きずりながらも三塁守備に就いた小坂。笑顔で声を張り続けたが、腰をかがめるのもやっと状態だった。コールド負けが決まり、整列する際には手を貸そうと駆け寄ってきた仲間を制し、ゆっくりとだが自分の足で列に加わった。
試合後「最後だったので、自分一人で、と…。試合を止めていたので申し訳なかった」と真っ赤な目で振り返った小坂。第1シードの松山商に対して臆することなく勝負を挑み「僕らの中ではいい試合ができた。十分です」と声を振り絞った。