巨人はコーチャーと走者の気持ちが一致していない?高代氏「攻守に悔いの残る試合」

 「ヤクルト8-2巨人」(20日、神宮球場)

 緊迫したゲームが、終わってみれば巨人の大敗。デイリースポーツウェブ評論家の高代延博氏は「巨人は肝心なところでの走塁と守備が悪い流れを作った。好守において悔いの残る試合」と語り、メルセデスの本塁憤死と状況判断に欠ける重信の“拙守”を指摘した。

  ◇   ◇   

 巨人が最初に悪い流れを招いたのは同点で迎えた五回の攻撃だ。メルセデスの三塁線を破るヒットと吉川の右前打で無死一、二塁という絶好のチャンスを作った。

 ここで北村が送りバントを失敗する。その後2死一、二塁から、岡本和の左前打で二塁走者のメルセデスが本塁憤死となった。

 何とも痛い逸機だった。この一連の攻撃で目立ってしまったのがメルセデスの走塁だ。

 二死で左翼が内川。この状況から判断して三塁コーチャー(元木ヘッド兼オフェンスチーフコーチ)は本塁突入を指示したのだろう。

 しかし、メルセデスにワンヒットで本塁へ帰るという意思は、あの走りを見る限り、なかったように思う。

 投球モーションを起こしたときの第二リードの少なさ。そして三塁ベースの真ん中を踏んで大きく膨らむターン。減速して回っているため、そこから本塁へ到達するまでの時間が長過ぎた。

 カットした村上もうまかったが、巨人ベンチの落胆ぶりが印象的だった。

 このシーンを見て思ったのは、コーチャーと選手の気持ちが一致していないのではないかという点だ。

 メルセデスには脚力がない。あるいは走る気持ちが薄い。すごろくで言うと「1」ばかりの選手。コーチャーはこの“性質”を把握したうえで、ゴーかストップの判断をする必要があるとも言える。

 先頭打者として三塁線を破りながら二塁を狙わない。一死一、二塁で丸が打ち上げた大きな中飛にはタッチアップの素振りも見せない。この場面は一死でもあるし、基本的に“ハーフウェー”だが、可能なら三塁を狙ってもいい。

 二塁から回す判断をしたのであれば、むしろその直前にタッチアップで三塁を狙わせる手もあったかな。

 三塁コーチャーは本当に難しい。私は経験上、投手が二塁走者の場合、ワンヒットで生還できないことを前提に考えていた。

 この試合のヤクルト・高橋のようなスピードのある投手を除いて、多くは本塁手前で減速するもの。“投手であろうと何であろうと、塁上では全力疾走”という考えには多少、無理があるからね。とにかく悔いの残る攻撃だった。

 一方で、これも悔いの残るワンプレーがあった。六回の巨人の守り。先頭打者の並木が放った右線への飛球に重信がダイビングキャッチを試みた結果、捕球できず三塁打にしてしまった。

 野球は状況判断のスポーツと言われるが、そこを疎かにしてはいけない。2-2の同点で後半に突入。1点が勝負を分ける緊迫した状態だったのだ。

 本人は“いける”とジャッジしたのだろうが、状況的にあってはならないプレー。あそこは回り込んで最悪、二塁打にとどめるプレーを選択すべき。“行ってしまえ”ではいけない。

 メルセデスの本塁憤死も重信の“後逸”もエラーという記録こそつかないが、勝利を遠ざけるプレーとなったことだけは確かだろう。

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