なぜ走者が出ると崩れるのか?巨人・メルセデスの致命的欠陥を高代氏が指摘
「中日3-2巨人」(9日、バンテリンドーム)
巨人の連勝が4で止まった。敗因のひとつに挙げられるのが、先発し五回途中で降板したメルセデスの投球。デイリースポーツウェブ評論家の高代延博氏は「ストライクを欲しがるあまり腕が緩み、変化球は打者に読まれてしまっている」と致命的とも言える“欠陥”を指摘した。
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メルセデスの悪い方のピッチングがまた顔をのぞかせたね。ストライクを欲しがって打たれるパターン。特に変化球を投げる時に見られる悪癖で“腕が緩む”という現象だ。
初回、簡単に3人で退けたまではよかったが、二回はビシエドに右前打された直後の木下にスライダーを左前へ運ばれた。低めではあったが、真ん中のコース。追い込んでいただけに実にもったいない投球だった。
三回は走者こそいなかったが、大島にスライダーを中前に打ち返された。おそらく大島はこのスライダーが見えていたのだと思う。こういう“ぬるい”腕の振りは、打者には瞬間的に分かるものだからね。
メルセデスは精神的に強いタイプではないのだろう。テンポよく投げている時はスムーズな投球ができるが、特に走者を背負うと気持ちに余裕がなくなり投げ急いでしまう。
二回から五回まで、連続して複数安打を浴びる崩れ方をしたのは投げ急ぎが原因。特に変化球を投げる場合にその傾向が顕著で、すべてをストライクゾーンへ投げようとする。
腕をしっかり振らずにボールを置きにいくと、変化球は単なる遅い球でしかなく、しかも高めに浮きやすい。たとえ低めに決まったとしても、打者に見極められる。
この悪いクセである“腕の緩み”を矯正しないと、なかなか次のステージに上がっていけないと感じる。
メルセデスはリーチが長く、右打者の懐に食い込む強いスライダーという武器を持っているのに、その特長をどうも生かせない試合が多い。そろそろピッチングスタイルを見直さないと。そのためには周囲のアドバイスが欠かせない。
アドバイスという点では、この試合でもうひとつ気になるシーンがあった。
三回一死一塁から岡林が放った左翼線への打球で、一塁走者の大島が一気に生還したシーンだ。
ポランコの動きを見ていると、守備位置が左中間へ寄りすぎていたため、打球処理に時間がかかっていた。
セオリーから言うと左中間、右中間を詰めるべき状況ではあるが、バンテリンドームの場合は両翼のポール際へ伸びた打球で、一塁から長躯ホームインするケースが多い。東京ドームよりも距離があるからね。
打者がパワーヒッターではない岡林ということを考えれば、外野手はそれぞれ左へ寄る守備位置をとったほうがよかった。
三回の巨人の攻撃でも、この特長を生かして1点を取っていた。その打球を右翼線へ放ったのがポランコだったが、彼にそこまでの知識はないだろうから、コーチの指示が必要だっただろうね。
1点差勝負になっただけに、これももったいない失点だった。