旭川大高・大渕 低重心打法の小さな戦士 次は父の背中追って北海の荒波に挑む
「全国高校野球選手権・1回戦、大阪桐蔭6-3旭川大高」(10日、甲子園球場)
北の大地からやってきた小さな戦士は、野球人生を懸けて懸命に目の前の強大な敵に立ち向かった。旭川大高(北北海道)の大渕路偉捕手(3年)は身長161センチとベンチ入りメンバーでは最も低い。大阪桐蔭先発の188センチ右腕・川原を相手に、打席では最大限に体をかがめて、できる限りの揺さぶりを仕掛けた。
「大阪桐蔭には小さい打者はいない。自分は小さい体を生かしていこうと思った」。小柄な体を武器とした低重心打法。無安打に終わったが、必死に球数を投げさせた。守りでは自慢の強肩で盗塁も阻止。「強打者がいる中で攻められるとこは攻められた」と先発・池田を好リードした。
小さな体には大きな勇気が込められている。母・訓子さん(43)は「体が小さいことには悩んでいました。ただ一切弱音を吐かなかった」と話す。憧れの甲子園を目指すため、中学入学時に日本の最北辺に位置する猿払村から、母と2人のきょうだいと一緒に旭川市へ移住した。
チームは大健闘したが、“絶対王者”の壁を破れなかった。次に追うのはホタテ漁を営む父・英樹さんの背中。「憧れだった家業を継ごうと思う」と前を向いた。高校3年間で鍛え上げた体を生かし、次に挑むのは北海の荒波だ。
◆大渕 路偉(おおぶち・ろい)2004年5月11日生まれ、18歳。北海道宗谷郡猿払村出身。161センチ、60キロ。右投げ右打ち、捕手。小学1年時に「猿払村アタッカーズ」で野球を始め、中学では「旭川大雪ボーイズ」に所属。旭川大高では2年秋からベンチ入り。