帝京五 完全燃焼 九州学院に大敗もコロナ禍に打ち勝ち最後まで戦い抜いた夏
「全国高校野球選手権・2回戦、九州学院14-4帝京五」(13日、甲子園球場)
夏の甲子園初出場の帝京五(愛媛)は九州学院(熊本)に大敗。聖地初勝利はならなかった。新型コロナウイルスの集団感染により、一時は出場も危ぶまれたが、大会日程の変更により、メンバーを入れ替えることなく出場が実現。元ロッテの小林昭則監督(55)は配慮に感謝しつつ、最後まで戦い抜いた選手たちへ賛辞を贈った。
悲願の甲子園初勝利がかかった試合。愛媛大会を継投で勝ち抜いてきた投手陣が打ち込まれ、大差をつけられた。「なんとか無事に終わってくれ」。小林監督はそれだけを願って、炎天下のグラウンドに立つ選手たちを見つめていた。
大会直前の1日に集団感染が発覚。メンバーの多くが寮を離れ、それぞれの実家で隔離生活を余儀なくされた。出場辞退も頭をよぎる中、全員で集まって練習できたのが前日の12日。自主練習だけでは限界があった。
この日先発した積田拓海投手(3年)が投球を再開できたのは3日前。小林監督も「普段の動きにはほど遠い。普段の半分以下、20、30パーセントくらいだったと思う」と、チームの様子を語る。試合では練習不足から足がつり、熱中症のような症状を見せる選手が続出。それでも最後は全員で整列し、試合を終えた。指揮官は「みんな、フウフウ言いながらやっていた。よく最後まで頑張ってくれたな、という気持ちでいっぱい」と選手たちをたたえる。
5月中旬までずれ込んだ入学式から始まり、最後までコロナにほんろうされ続けた高校野球生活。それでも積田は「最後は気持ちでぶつかって、悔いなくできました」と笑顔をのぞかせた。「後輩には甲子園に出て勝ってほしい」。困難を乗り越えて夢の舞台に立ったという勲章は、次の代へ受け継がれていく。