高松商・浅野 8強で幕も「後悔ない」プロ入り明言 近江・山田撃ち3安打2ランで爪痕

 3回、近江・山田(左)から同点2ランを放つ高松商・浅野(撮影・高部洋祐)
 7回、申告敬遠で一塁に進む高松商・浅野。投手は近江・山田
 試合後、目を潤ませながらベンチへ戻る高松商・浅野(撮影・伊藤笙子)
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 「全国高校野球選手権・準々決勝、近江7-6高松商」(18日、甲子園球場)

 今秋のドラフト上位候補に挙がる高松商(香川)の浅野翔吾外野手(3年)が、8強で姿を消した。世代屈指の好投手・近江(滋賀)の山田陽翔投手(3年)から高校通算67本目の本塁打を放つなど、4打数3安打2打点の活躍。打率・700、3本塁打と大きな爪痕を残した大会No.1スラッガーは、プロ志望届を提出することを明言し、次の舞台を見据えた。

 最後の整列で向かい合った山田を、浅野は真っ赤な目で見つめた。ライバルから「完敗や!」と告げられると、「次、頑張れよ!」と笑顔で返した。“世代最強対決”には圧勝。しかし52年ぶりの4強には届かなかった。スタンドからの惜しみない拍手に送られ、聖地を後にする浅野の目には涙がにじんだ。

 初回、フルカウントからの外角スライダーを左手一本で左翼線へはじき返した。2点を追う三回1死一塁では、山田の146キロの直球を完璧に捉えた。弾丸ライナーの打球に対し、中堅手が追うことを諦める圧巻のバックスクリーン弾。試合を振り出しに戻した。

 さらに五回には山田が挑んだ全球変化球勝負の末、低めのツーシームを捉え、三遊間を破った。山田の持てる球種をことごとく打ち返した浅野。迎えた七回1死一、二塁の第4打席では、衝撃の結末が待っていた。

 近江ベンチが取った選択は申告故意四球。スタンドからは「えーっ!」とどよめきがわき起こり、本人も「一、二塁で山田投手だったので、ないかなと思ったが、びっくりした」。逆転の走者を出しても勝負を避けなければならない。超高校級の実力を証明するワンシーンだ。

 チームの勝利に徹した夏だった。下級生の頃から結果が出なかったりするとイライラを態度に出し、チームの雰囲気を悪くした。長尾健司監督(52)から“カミナリ”を落とされたが、新チームで主将に就任すると「自分勝手なことばかり」だった自分を変えた。

 1番打者として意識したのは出塁。野球を始めた頃から、試合前に父・幹二さん(53)へ「今日の試合はヒットを何本打つか」目標を話すのがルーティン。香川大会決勝前は、安打数ではなく「全打席出塁する」と言い切ったという。

 山田との対戦を「むちゃくちゃ楽しかった」としつつ、八回の第5打席直前に交代となったことで「最後まで対決したかった」。今大会は打率・700、3本塁打、6打点と強烈なインパクトを残し、プロ志望届を提出することを明言した。「後悔はないです」と言い切った世代No.1打者には、最高峰のステージが待っている。

 ◆浅野翔吾(あさの・しょうご)2004年11月24日生まれ、香川県高松市出身、17歳。170センチ、86キロ、右投げ両打ちの外野手。屋島スポーツ少年団で野球を始め、屋島シーホークス、屋島中では捕手を務めた。U15日本代表に選出され、主軸としてBFAアジア大会優勝に貢献。高松商では1年夏からレギュラー。

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