近江・山田 浅野との勝負に負けて試合に勝った 6失点苦投も10K星で“聖地記録”上昇
「全国高校野球選手権・準々決勝、近江7-6高松商」(18日、甲子園球場)
全力を出し切った。力と力をぶつけ合った主将2人による真剣勝負。試合の軍配は近江(滋賀)山田陽翔投手(3年)に上がったが、今大会屈指の好打者に圧倒された。「ナイスバッティング。完敗や」。試合後、浅野にかけた言葉が全てだった。
脱帽したのは、2点リードの三回だ。1死一塁から「僕の投げミスではないので、浅野くんの完璧な打撃だった」と、カウント1-1からの3球目、こん身の146キロ直球をバックスクリーンにたたき込まれた。同点に追いつかれる2ラン。すさまじいパワーを見せつけられた。
お互いを“大会No.1”とたたえ合う2人の対決。4打席目は申告故意四球で歩かせるなど、1本塁打を含む3打数3安打と一度も抑えられなかった。走攻守で奮闘した疲労からか八回、5打席目の対決は直前に右太もも裏がつった影響で降板し、実現しなかった。
それでもエースとして7回1/3を9安打6失点10奪三振。これで通算奪三振は108個となり早実・斎藤佑樹(元日本ハム)を抜いて歴代4位。通算勝利数11は横浜・松坂大輔(元西武)らに並んで歴代5位タイだ。
ラストサマーは「少しでも疲労が残らないように柔軟性を高めて、回復させることを一番に考えています」。1試合でも多く投げるために、自宅で使うメンテナンス器具を宿舎に持ち込んでいる。
入学時から目標としてきた滋賀県勢初の甲子園制覇まであと2勝だ。「みんなの力が大きくなっているのを感じている。また新たに次戦に向けて頑張りたい」と山田。悲願を達成するまで、大黒柱は聖地に立ち続ける。