近江・山田 涙のち「仲間に感謝」 644球激投も悲願V届かず「次のステージに」
「全国高校野球選手権・準決勝、下関国際8-2近江」(20日、甲子園球場)
天を見上げて涙をこらえようとしたが、耐えきれなかった。一塁側アルプスから注がれる拍手と歓声に両手を挙げて応えた近江の主将・山田陽翔投手(3年)。「仲間たちと最後は笑って終わりたかったですけど、自分のふがいなさのせいで負けてしまった。支えてくれた仲間に感謝を伝えたい」と、頂点の景色を見ることなく最後の夏の幕を閉じた。
今大会、全5試合に「4番・投手」で出場した右腕。立ち上がりから本来の調子ではなく、7四球と制球に苦しんだ。同点の六回には2四球などで1死満塁のピンチを背負うと、迎えた打者に2点適時二塁打を浴びて勝ち越された。6回2/3を投げて7安打5失点(自責点4)。エースとして踏ん張れなかった。
4強入りした2年夏から主戦投手としてチームを支えた。通算3度出場した甲子園では史上3位となる通算115奪三振を記録し、11勝をマーク。個人として華々しい数字を残したが「日本一になりたかった」と仲間と共に成し遂げられなかった優勝を悔やんだ。
聖地で644球を投げ抜いた夏の戦いは終わったが、まだ山田の野球人生は続く。進路希望はプロ野球。「志望届は出します。評価していただけるポイントが違うとは思うんですけど、どちらでも準備はしている。自信を持っているのはピッチャーなのかなと思います」と投打で注目されているドラフト候補は、プロでもマウンドに立つことを希望した。
「楽しい2年半でした。次のステージに経験を生かしたい」と語った山田。大黒柱の挑戦はまだまだ終わらない。