巨人 ウォーカーはなぜ失速したのか?内田順三氏が解説「相手が対策するのは当然」「来年も絶対に必要な選手」
巨人のアダム・ウォーカー外野手(30)が、7月以降に失速した。ここまで打率・272、19本塁打、44打点。推定年俸3400万円の格安助っ人ながら、前半は球宴にも選出されるほどの活躍だったが、8月は厳しい内角攻めで本塁打もなく、19日にはついに2軍降格となった。不振の要因はどこにあるのか。実際に2軍戦を観戦したデイリースポーツ・ウェブ評論家・内田順三氏が解説する。
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前半は球宴に選出されるほど打ったわけだから、相手も対策するのは当然のこと。基本はインハイ、アウトローの対角線の攻め。その中で失投を打たないといけないが、厳しい攻めをされるとどうしても狂ってくるよね。
ファームでは24日・楽天戦の3打席を見て、左投手(弓削)が投げていたが、インコースもうまくさばいてヒットも出ていた。ただ、少し気になったのは、タイミングの始動が遅れているのか、テークバックをした時にヒッチして、打つ直前に忙しくなっていること。状態が良かった時はテークバックをした際、グリップが上がった状態からバットが出ていたのが、今は振り出しの際に少し下がり気味になっている。これにより右肘も下がり高めは苦しくなるし、バットも遠回りして内角は遅れて詰まるし、外角は泳いでしまう。
本来、彼の良さは顔を正面に向け、後ろの右肘を上げ、バットがスムーズに出てくるところ。スイングがコンパクトだから真っすぐを待っていても変化球にも対応できる。今苦しんでいる高めも打てるはずだし、それでいてパワーもあるからよく飛んでいたはずだ。
弱点があるとか、相手の攻めどうこうではない。チーム状態も悪くて足のある重信、松原らを使っているが、ウォーカーは試合に出続けていれば25~30本は打てる選手。ファームでも一生懸命やっている雰囲気が伝わってきたし、残りシーズンでも1軍に上がってくるでしょう。
右の長距離砲というのは貴重で、助っ人でも見つけてくるのは大変だし、あれだけ打てれば相手にとって脅威となる。ましてやウォーカーは獲得する際に守備には目をつむり、その打力でもしかしたら、という狙いもあったと思う。まだ30歳で伸びしろも期待できる。今年はもちろん、来年も絶対に必要な選手だと思うよ。